なぜ全く利益の出ない不採算部門の給食事業が大幅な省人化に成功し年間営業利益0円から2,000万円へ大幅黒字化したのか? | 給食業の経営相談・コンサルティングは、実績豊富な船井総研フードビジネス支援部へ!

経営コンサルティングの船井総研 フードビジネス支援部
  • ビジネスTOP
  • セミナー
  • 研究会
  • 業績アップテキスト無料ダウンロード
  • コンサルティングレポート
  • 講演依頼
コンサルタントコラム

給食
2018/2/20

なぜ全く利益の出ない不採算部門の給食事業が大幅な省人化に成功し年間営業利益0円から2,000万円へ大幅黒字化したのか?

なぜ全く利益の出ない不採算部門の給食事業が大幅な省人化に成功し年間営業利益0円から2,000万円へ大幅黒字化したのか?

年間営業利益0円から2,000万円へ 大幅黒字化させた方法 給食部門を事業化させて収益化した成功事例インタビュー

株式会社らくらダイニング 代表取締役 赤堀 保富 氏
札幌市で介護事業を展開する『らくらグループ』にて介護施設向け配食事業を展開。
保険収入への依存から脱却し、企業を発展させていくために、グループ内の給食部門を事業化させ、介護施設向け配食事業の外販参入を決断する。
赤字経営だった給食部門にてこ入れを行い、全く利益を生まなかった不採算部門から年間営業利益2,000万円を出すまでに至った。

『保険収入』で企業存続が左右されることに 大きな不安を抱えておりました。

らくらグループは、札幌市に本社を構える介護事業グループです。私は同グループの施設や他社施設への配食事業を展開する、『らくらダイニング』を経営しております。
元は海外で全く違う仕事をしておりましたが、縁あってここ札幌で仕事をすることになりました。介護事業について全く理解していなかったので、まずは業界の勉強・情報収集から始めました。すると、今まで携わっていた業界とは全く違う在り方に驚愕しました。それが『保険収入による経営依存』という現実でした。

国が決める報酬の大小で成り立つ ビジネスは非常に危険だと思いました。

私は「価格」というものは市場の力で決められるべきだと考えておりました。しかし現在の介護業界は『国による保険収入が大前提』であり、業績はこれに左右されます。
介護業界は深刻な人材難に表されるように、非常に厳しい状態です。近々では報酬改定も迫り、このまま外的環境に依存していけば万一のときに崩壊してしまうと、日々不安を抱えておりました。そこで、早急に介護事業のてこ入れをしなければと考えました。介護事業を長く経営されていらっしゃる方はご存知かと思いますが、2000年頃の保険収入の度合いや勢いは凄く、施設経営の赤字はほぼ全て保険収入でカバーできていました。従って、介護施設の経営が部門的に赤字でも「まあいいか」で見過ごしてきたのです。そのツケが今、回ってきたと考えました。但し、そこを正さねば介護業界における自社の将来は無いと、一念発起し経営状態を紐解いて見ていくことにしたのです。

全く利益が出ていない不採算部門は、 圧倒的赤字の給食事業でした。

改めて経営状態を見直すと、収益を圧迫しているのは明確に給食部門でした。正直に言えば、これはもう分かっていたことです。給食の売上は介護施設の利用者数に左右されます。利用者数が増えればその分売上も増えますし、減れば勿論売上も減ります。現実的に、介護施設は増え続ける一方で、集客は介護事業支援所や病院からの紹介に依存していますので、利用者数は思うように伸びません。加えて利用者数が減っても、採用した人員を簡単に解雇できませんので、経費はより圧迫されます。
当時自社の給食部門は、各施設毎に運営されており、本社として管理ができておりませんでした。施設毎に仕入れから調理までを行っておりましたので、経費意識もありませんでした。食材原価の高騰も平行してありましたが、拠点毎の仕入れでは対処する手立てもありません。実質的には、リーダーである施設長が旗を振り、経営をしなければなりませんでした。大規模施設では社員10名・パート30名、それ以外に管理栄養士や調理士を現地採用しており、採用費や人件費の高騰で経費が圧迫されておりました。採用困難によるスタッフの負担は増え、本来の事業である介護に注力できなくなる課題も顕著に挙がっていたのが実態でした。

「給食」から自社の経営改善を図るため、 らくらダイニングが誕生しました。

人も経費の管理も不十分なままでは、改善の余地もありません。そこで今までの状態から脱却するために、この「らくらダイニング」を設立させました。最初にらくらダイニングが担った役割は、給食部門に関わる経営数値を見えるようにしたことです。かつての高い保険収入有りきで、全体の損益が黒字であればOKとしていた時代はもうあり得ません。これからは、どの部門のどの箇所が不採算をもたらしているのかを『数値』として日々追っていかねばなりません。まず全施設の給食部門・従業員をらくらダイニングへ転籍させて、経費を把握・見直しました。
次に、セントラルキッチンの役割を持たせたことです。中心地にセントラルキッチンを建て、拠点毎だったものを、一括仕入れ・一括調理といった形で集約し、原価と工数管理に力を入れ始めました。これにより、各拠点で仕入れや発注にかけていた人件費は今では20%程度にまで下がりました。

次のステップとして、 クックチルを導入し省人化を図りました。

セントラルキッチンによる製造集約化後、次のステップとして製造効率に目を向けました。当日調理にかかる工数や人件費を削減するため、「クックチル」を導入して事前調理比率を上げていきました。らくらダイニング設立当初は、依然各施設で最終調理を行っておりましたが、このタイミングでクックチルへの移行を順次進めていきました。

当初施設やスタッフから の声は消極的でした。

正直なところ、施設長から現地調理⇒クックチルへの移行に対して現場から消極的な声もありました。利用者様からの満足度が下がるのではないかと心配になるスタッフも多かったです。しかし、内容は製法が変わるだけで品質は変わらず、そもそも利用者様には見えにくい部分ですので大きな問題ではありません。それ以上に現地調理の必要がない分、栄養士や調理員の採用、人件費が抑えられるので、施設にとってプラスでしかありません。具体的には6名で回していた厨房を3名で回せることを体感できたことで、導入後は比較的容易に受け入れられました。

自社の未来のため、保険外収入を得るため に、外販事業に参入しました。

順々に切り替えていった現地調理も、今ではクックチルによる半調理品が主流となりました。そこで今一度、『保険収入依存からの脱却』というテーマを思い返しました。このままでは自社の将来を自力で描くことは難しいと思い、保険外収入を得る仕組みを自社で持たねばならないと考えたのです。そこで、『この先ターゲットとなる売り先が増えていく成長市場はなんだろう』ということです。国の方針に関わらず増えていくもの、それがまさに『高齢者』でした。札幌市においても高齢化は進み、未だ充足していない介護施設はこの先どんどん増えていくでしょう。そこで決断したのが増えていく介護施設をターゲットとし、クックチルによる半調理品を『外販』するビジネスでした。既に自社施設に製品を卸しているので、新しい投資はかからずに実施できます。何よりも介護施設は給食部門により経費が圧迫している実態を、私たちが一番良く理解しておりますので、この事業が必要とされていることが簡単にイメージできました。

外販に必要なのは、売れる仕組みを知り、 素直に実践することだけでした。

外販へ参入することは初めてのことでしたが、自社施設へ食事を卸している実績があるので、商品力には自信はありました。『売る』ことは、素人でしたので時間をかけて戦略・戦術を練りました。新卒社員1名を営業に抜擢しましたが、既存業務と兼務でしたので、人も時間も限られている中で最大の成果を出す必要がありました。まず取り組んだことは、HP製作と運用です。HPは非常に重要で、休むことなく営業をしてくれる最高の営業です。
数あるHPの中でも、実績を上げているHPには共通するルールがあり、素直に自社にも反映させました。試食を含む問い合わせは月に10件以上来るようになり、改めてHPの必要性と重要性を実感しました。

成約率を高めるため、見込み案件を自社で 生み出す仕組みを持つべきと知りました。

当社の営業マンは新卒社員1名のみです。営業マンの成約率を最大限に高めるためには、『興味を持ってくださる施設』『お食事に課題を抱えている施設』といった見込み案件に対してのみ営業へ注力させることが重要です。HPが整備された後、見込み案件を自社でしっかり生み出すために、販促手法の1つとしてDM販促を実施しました。全国的に業績を伸ばされているDMから学び、自社のDM作りに活かしました。また特に大事だったのは対象となる施設の絞込みを漏れなく実施することで、運用しているHPが機能するようになります。
DMからHPを見て頂くことに繋がり、WEB経由からの問い合わせや試食の申し込みが増える好循環をつくることができています。温度感が高い見込み客への営業ですので、難易度もそれほど高くないと思います。
2017年における自社の成約率は見込み案件に対して50%成約しています。

全く利益を生まなかった給食部門が 大幅に黒字転換するまでに至りました。

別法人化による人とお金の流れの見える化、セントラルキッチンによる業務集約、クックチル活用により事前調理比率を上げて工数・人件費の削減で第一段階である赤字脱却に繋がりました。第二段階として、保険収入依存からの脱却、外販参入による保険外収入をコンスタントに得られるようになりました。参入後すぐに外販売り上げの角度がついたわけではなく、前述したように試行錯誤して『売れる仕組み』を確立し、月商200万円だったベースを現在では750万円まで伸ばすことができています。セントラルキッチンへの投資回収も完了し、現在では年間2,000万円の営業利益を出せるまでに成長しています。不採算部門だった赤字給食部門が、保険外収入の源泉に至ったことは、実にありがたいことです。そしてこの給食事業は、365日のお食事を提供するサービスです。つまり明日の売上が見込めるとともに、顧客獲得する度に売上が積み重なっていくストック型ビジネスへと進化していきます。これは経営者にとって、健康的な経営を進めていく上で非常にありがたいことです。

高齢者のトータルサポート企業に なるための事業を展開していきます。

我々はグループ内で介護施設紹介事業も展開しております。これは皆様もご存知かと思いますが、施設に入りたい高齢者と集客したい施設をマッチングさせるビジネスです。これは介護施設を経営する自社だからこそ持てるメリットやブランド力で順調に業績は伸ばせてきました。同時に他社施設への利用者紹介からクックチル製品の外販へ繋げていく流れも構築できました。そこで今後自社としての方向性は、やはり最終顧客である『在宅』に進出していくことです。介護業界は『施設在宅地域包括支援』へ移行していきます。我々は単なる高齢者介護施設で終わりたくないと考えております。社会に求められる企業であり続けるために、高齢者のトータルサポート企業で在りたいと考えています。
そのために、在宅にもしっかりアプローチしていかなければなりません。今年3月に規模を拡大したセントラルキッチンを建設予定です。
将来的に個人宅へのお食事宅配事業を立ち上げ、お食事における高齢者へのトータルサポートを可能にしていきたいと考えております。

『在宅』をターゲットにすることで、 得られる大きな恩恵があります。

今、個人宅へのお食事宅配に参入する介護事業者は非常に増えています。保険外収入を得るために実施するのは勿論ですが、一番の恩恵は『高齢者個人宅の名簿を獲得できること』です。獲得した配食利用者を、今後の施設利用見込み客としてストックしたり、他事業へのサービスを販売したりなど、既存事業への活性化に繋がる重要な要素に成り得るからです。
施設集客はケアマネに依存する形ですので、今後より一層競争激化が予測されます。自社としてはその依存体質からいち早く脱却し、保険収入を別途獲得するためにも、在宅へのアプローチもしっかり図っていきたいという方針です。

保険報酬依存、この状況から打開するためには、 新しく道を切り開くしかありませんでした。

①給食事業を別事業化させて惰性的な管理から脱却
②セントラルキッチンによる給食事業の集約化
③クックチル活用による省人化・人件費と工数削減
④クックチル製品の外販で高収益保険外収入の獲得
⑥在宅市場への参入でシニアトータルサポート企業へ

今では多くの業界経営者様とお話させて頂くこともありますが、私ども含め介護業界は非常に厳しい状況を迎えています。外的環境に身を任せてきた今までに対して、このままで本当に良いのでしょうか。国の方針に左右される経営状態の中で、社員の運命を社長として背負って良いのでしょうか。私はそこに居心地の良さを感じることができず、今回自ら切り開いていく道を選択しました。まだまだ道半ばではありますが、全国各地で前向きに事業に取り組まれている皆様に置いて行かれぬよう、今後もより一層努めて参る所存です。
株式会社らくらダイニング 代表取締役 赤堀 保富
担当者
アシスタントコンサルタント
井上 裕基

高齢者個人宅、施設へ直接食品をお届けする「高齢者向けフードビジネス」に専門特化したコンサルタント。
 
大学卒業後、大手乳製品乳酸菌飲料グループに新卒で入社。宅配部門のマネージャーとして高齢者向け宅配営業、100名以上の女性スタッフマネジメントの実績と船井流経営法を掛け合わせた、独自の業績アップ手法を確立させている。
船井総研に入社後はその実績とノウハウを活かし、主の弁当給食会社だけでなく、介護施設や病院、葬儀社といった異業種参入での給食業における高齢者向けフードビジネスに専門特化して業績アップのサポートに年間365日全国各地を駆け回っている。
 
特に高齢者向け個人配食における、立ち上げから拡大までの圧倒的スピードと一貫したサポート、幹部・営業・現場配送スタッフまで徹底した営業強化支援と落とし込みを得意としている。

このコンサルタントに相談する
記事を見る
その他おすすめの記事