飲食店の上手なデジタル・IT活用のポイントその②―効率化― | 船井総研 フード支援部

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コンサルタントコラム

外食
2019/12/09

飲食店の上手なデジタル・IT活用のポイントその②―効率化―

株式会社船井総合研究所 グループマネージャー/シニア経営コンサルタント 石本 泰崇

飲食店の上手なデジタル・IT活用のポイントその②―効率化―

こちらのコラムでは、前回に引き続き、「飲食店の上手なデジタル・IT活用のポイント」について解説していきます。

 

前回のコラムはこちらから。

https://funai-food-business.com/column/6173/

 

■【復習】デジタル活用の3つのポイント

繰り返しにはなりますが、デジタル活用を上手にしていくには、以下の3つのポイントが重要となります。

 

①標準化

…デジタル化・システム導入の対象となる業務は、十分に標準化されているか?

 

②効率化

…デジタル化・システム導入の結果、その業務は現場で回せるレベルに効率化されるか?

 

③動機づけ

…そのシステムを活用するメリットや意義は伝わっているか?

 

前回はまず「標準化」について解説しました。

簡単にいうと、標準化とは「同じにすること」と「変わらないようにすること」というお話でした。

 

今回はポイントの2つ目、「効率化」について解説していきます。

 

 

■4つのステップ

デジタル化・システム導入による「効率性」といっても、大きく4つのステップに分かれます。

 

・設計

・導入

・運用

・メンテナンス

 

【設計】とは、どのようなシステムが良いのか、自社・自店舗に必要な機能とは何なのか、費用や導入までの期間はどれだけかかるのか、という観点から精査・検討する段階です。

 

【導入】とは文字通りの意味ですが、今までのやり方から変えるわけですから、そのための処理や準備、利用者向けの説明・講習を行う必要があります。

 

【運用】とは、実際に現場でシステムを活用していく段階です。

その中で様々な「想定外」が出てきます。

 

【メンテナンス】とは、運用によって生じた「想定外」に対応するための措置や、システム自体の定期的なアップデート などを指します。システムが正しく機能するよう維持するためです。

 

 

デジタル化・システム導入による「効率化」は、主に【運用】段階での効率性の向上に着目されがちですが、その前後の段階の効率性も考えなければなりません。

特に、導入前に1回限りの【設計】【導入】段階よりも、継続的に手間がかかる【メンテナンス】のことを考えることが重要です。

 

デジタル化やシステム導入によって、現場の作業は非常に効率的になったとしても、現場レベルでのちょっとした変更の度に、おおがかりなシステム上の改修が必要になればどうでしょうか。

現場では変更が生じているのに、システムが追いつかないことになり、次第と形骸化していってしまいます。

 

 

「システム」という抽象的な言葉ではイメージしにくいかもしれません。

前回と同じく「業務マニュアル」を例にとって考えてみましょう。

 

店舗間のレベル差をへらすために、「全店舗共通の業務マニュアル」という仕組みを導入することにしました。

その業務マニュアルの運用としては、紙で見ることを前提に、印刷して各店舗に置いていたとしましょう。

 

一店舗単位で見れば、現場での些細な変更はそのまま業務マニュアルに書き込むだけですが、「全店舗共通の業務マニュアル」が本来の趣旨です。

そのためには、全ての店舗に置かれている【紙の業務マニュアル】を、全て印刷し、場合によっては郵送等で配布しなければなりません。

 

このような業務マニュアルの【メンテナンス】が実際に行われるでしょうか。

すぐに使われなくなるか、各店舗で独自に進化を遂げるか、どちらかでしょう。

 

 

■スモールスタートで始めよう

さて、ここまでは運用段階だけではなく、メンテナンスのことも踏まえて効率性を考えなければいけない、という話をしてきました。

 

では、その上で効率性を高めるためにはどうすればよいでしょうか。

 

力相応に始める

 

一つは「力相応に始める」ということです。

いくら最先端のシステムが効率の観点から素晴らしい機能を持っているとしても、今までアナログな方法でしかやったことがない人にとって、十分に使いこなすことは難しいでしょう。

 

いきなり全てデジタル化・システム導入をするのではなく、「特に業務量が多い × デジタル化・システム導入による効果が大きい」業務から、検討していくのが良いでしょう。

 

そうすることで、デジタル化・システム導入による効果を実感しやすく、さらなるデジタル化への抵抗も小さくなります。

 

最近はある程度の範囲であれば無料で使えるシステムやツールも、WEB上にたくさん出ているので、試験的に使ってみることも有効です。

 

「力相応かどうか」の指標が、「実際に現場で使い続けられるか」です。

 

 

あえてデジタル化しない

 

もう一つのポイントは「あえてデジタル化しない」です。

言い換えれば、アナログな方法のまま残しておくということです。

 

たとえば、紙の書類を全てデータ化して、ペーパーレス化を進めていくとしましょう。

一般的にペーパーレスにすることで、紙や印刷のコストが抑えられる他、データとして保存されているため検索しやすく、複製や加工も容易であるなど、効率化が図られるものです。

 

ただ、現場のオペレーション的に、最初からデータで入力するのが困難なものや、手書きのものをデータ化する(打ち込む)ことが手間なものもあります。

 

また、手で書くことで覚えやすくなるという側面もあるため、確認用のテストはあえて手書きのまま残している、という会社様もあります。

 

 

目的に応じて、「アナログのままにしておくもの」「それでもデジタル化するもの」を分けて考えるようにしましょう。

 

 

■「効率化」で使い続けられなければ意味がない

いかがでしたでしょうか。

今回はデジタル活用のポイントの2つ目、「効率化」について解説させて頂きました。

 

いかに素晴らしい技術であっても、現場で使い続けられなければ意味がありません。

ぜひ各ステップに目をやり、運用可能な形でデジタル活用をしていただければと思います。

 

次回は最後のポイント「動機づけ」について解説させて頂きます。

担当者
グループマネージャー/シニア経営コンサルタント
石本 泰崇

十数年間飲食業の現場でキャリアを積んだ後、船井総合研究所に入社。
上場外食企業のスーパーバイザー、最年少での営業部長就任、130名以上のメンバーのマネジメント実績を活かし、人事評価制度、人材採用、人材開発・育成(教育)プランの提案を得意とする。
現場と経営者の双方の意見を融合させての改善提案や業績向上プラン、即時経費削減プランを具現する。
最近では特に人事評価制度導入により、人を育てて、業績アップを実現させるスキームの導入から運用までの依頼が多い。

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