タグ:HACCP義務化
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コンサルティングコラム外食宅配2021.01.04いつも本コラムをご愛読いただきありがとうございます。 船井総研の小林拓人です。 今回のコラムでは結論からお話しします。 タイトルの 「HACCP義務化への対応に衛生コンサルは必要か?」 に対する答えは ――――――『不要』です。 しかし何故、衛生コンサルタントの必要性が世間で認識されているのか その背景、逆に衛生コンサルタントにお願いしても良いパターン等を 下記に詳しく記載していきます。 ■HACCP”認証”の取得義務の誤解 第一に、多くの飲食経営者様が誤解されているものとして挙げられるのは 「HACCPは認証制度であるという誤解」 です。 これは大きな間違いで 国(厚生労働省)が求めているHACCP対応では認証の有無は存在しません。 国が求めているもの、それは『HACCPに沿った衛生管理』です。 ただ一方でHACCP認証は確かに存在しており、 各自治体が制定した『自治体HACCP』と呼ばれるものや、 業界団体の認証制度『業界HACCP』等様々あり これのための認証取得のためにコンサル会社等が多数活動している状況です。 つまり構図としては 国が義務化したHACCP=HACCPに沿った衛生管理 自治体、業界団体、認証団体等が作った取得義務のないHACCP=HACCP認証 となります。 ■話を複雑にする2つのHACCPに沿った衛生管理 さて、先ほど 国が義務化したHACCP=HACCPに沿った衛生管理 とお伝えしましたが、その衛生管理は下記2種類の管理方法に分けられます。 ① HACCPに基づいた衛生管理 ② HACCPの考え方を取り入れた衛生管理 2つの違いをこちらの図で記載したのでご確認ください。
誤解を恐れずに説明すると ① HACCPに基づいた衛生管理=大手企業向け ② HACCPの考え方を取り入れた衛生管理=中小・零細向け であり、求められる管理内容の細かさ等が違ってくるということです。 恐らく本コラムをお読みになっている経営者の方々は ② HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に該当されるので 自社にとって必要なHACCPは 国が義務化したHACCP=HACCPに沿った衛生管理=HACCPの考え方を取り入れた衛生管理 と認識した上でHACCP対応に取り組んでいただければと思います。 ■HACCP義務化への対応は難しいのか? HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(中小・零細向けの国が義務化したHACCP) への対応は結論から述べると難しくはありません。 弊社とお付き合いのある企業様も 自力で対応されているケースがほとんどです。 業界団体・協会からも対応のためのマニュアルが準備されていますので それに沿って進めていただければ問題なく対応できます。 ■こんな時は衛生コンサルタントにお願いを! HACCPへの対応は自社で対応できるとお伝えしましたが 衛生コンサルタントを必要とするケースを“あえて”お伝えすると 以下の2つに絞られます。 ①書類作成が面倒な時 HACCP対応の際には、手引書・計画書と言われる書類を作成する必要があります。 こちらも作成する分には難しくないのですが 書類作成への工数をかけたくない企業様も多くいらっしゃいます。 その書類作成の代行を必要とする場合は衛生コンサルタントにご依頼ください。 ②認証が欲しい時 冒頭、今回のHACCP義務化への対応は認証制度ではないとお伝えしました。 これは当然のことながら対応したところで、対外的なアピールとならないことを意味します。 自社の経営戦略として衛生についての認証が必要な場合は 下記の図を参考に、どのような認証が適しているのかご確認ください。
ただし、これらの認証にはHACCP義務化よりもかなり細かい基準・査定内容・設備投資の発生が存在しますので、取得の際は衛生コンサルタントに相談することが無難と言えます。
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コンサルティングコラム外食宅配2020.05.16緊急事態宣言の解除がエリアごとに進むなかで 多くの飲食店が営業再開の動きを見せています。 しかし一方で新型コロナウイルス発生以前までの 売上に戻るにはさらなる年月がかかるとの見方が強く、 弊社がお付き合いしている支援先では これまで実施してきた中食対応を継続する企業様や いわゆるWITHコロナ時代を見据えた経営戦略として デリバリー・テイクアウトの第二事業化を目指す 企業様が多くいらっしゃいます。 そのような状況である今 新型コロナウイルス感染症が国内で発生した時に比べ かなり気温が上昇し、衛生リスクが格段に上がっています、 既に保健所や様々な情報媒体から情報をキャッチアップし 衛生対策を実行に移されている企業もいらっしゃる一方で、 まだまだ街中の飲食店では今にも食中毒が発生しそうな 危険な中食対応をしている企業も多数あるように感じます。 そのため今回は外食店向けコロナ対策シリーズとして 中食対応を始められた企業様に向けて 対策すべき衛生リスクをご紹介致します。
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コンサルティングコラム外食宅配2020.05.07コロナが猛威を振っています。 毎日状況が様変わりし、中食事業者の経営者の皆さまは日々目まぐるしく働かれていることと思います。 今やるべきことは大きく分けると、 ①今を生き残るための行動をする。 ②来るべきアフターコロナの準備をする。 の2つです。 このブログでは、 ②に関してお話をしたいと思います。 ご支援先の皆さまの中にはアフターコロナに向けて、 今のうちに「会社の基盤を再構築したい」という企業もたくさんいらっしゃいます。 中食事業者が今できることとしては、 厨房の働き方の大改革です。 パート/アルバイトの皆さまにお休みをして頂いていたり、 注文が入っておらず時間がある今のうちに厨房のオペレーションそのものを変えてしまうのです。 アフターコロナに忙しくなった時に従業員様が正しい労働時間で働けるよう、 今のうちから「HACCPを前提とした新調理システム」の導入を本格的に検討してみてください。 このブログでは数回に渡って、HACCPやクックチルなどの「やり方」や、 急速冷凍機、鮮度保持冷蔵庫の「ツール」についてお話をしていこうと思います。 まずは、基本中の基本「HACCP」から。 HACCPとはHazard Analysis(危険要因分析) & Critical Control Point( 重要管理点)のことです。 もっと詳しく言うと、 「原材料の受入れから最終製品までの各工程ごとの危害要因を予測して、 危害要因の防止につながる、特に重要な工程を継続的に監視・記録する工程管理のシステム」 と訳すことができます。 危険要因とは、 ①生物的危害・・・病原細菌、腐敗微生物、ウイルス、寄生虫など ②科学的危害・・・カビ毒、キノコ毒、魚毒、貝毒、農薬、工業薬品など ③物理的危害・・・ガラス、金属、プラスチック、木片、石など の3つにわけることができ、 これらを「継続的に」監視、記録する工程管理する仕組みをHACCPと言います。 次回はこれの導入方法についてお話をしていきたいと思います。
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コンサルティングコラム外食宅配食品給食一次産業2019.10.25いつも本コラムをご愛読いただきありがとうございます。 船井総研の小林拓人です。 今回は「【2019年最新版】HACCP義務化! HACCP義務化に関する誤解」 というテーマについてお伝え致します。 2018年6月13日、食品衛生法が改正され、 原則としてすべての食品等事業者に 『HACCPに沿った衛生管理の実施』が求められるようになりました。 一般的に言われている『HACCP義務化』です。 HACCP義務化の法律は2020年の6月に施行されることが決定しており、 1年間の猶予期間が経過後、2021年6月に猶予期間が終了します。 そのため、多くの企業様がHACCP対応に焦りを感じていらっしゃるのではないでしょうか?
2019年6月に農林水産省から発表された HACCPの平成30年度での導入状況資料によると、 「HACCPに沿った衛生管理を導入済み」と答えた企業は全体の41.9%であり、 まだ半数にも満たない状況です。 この対応の遅さの大きな原因の一つに、 多くの企業様が『HACCP義務化に関する誤解』をしていることにあります。 今回のコラムではその誤解事項を2点お伝えできればと思います。 ◆HACCP認証取得の義務 HACCPに関して現状、多くの認証制度が存在します。 各自治体が制定した『自治体HACCP』と呼ばれるものや、 業界団体の認証制度『業界HACCP』等様々あり これに伴って認証取得のためにコンサル会社等が多数活動している状況です。 ここで重要なのはこのHACCP認証の取得は義務ではないということです。 法律で定められたHACCP義務化への対応ですが、 この法律で求められているのは『HACCPに沿った衛生管理』であり、 これはHACCP認証取得を意味しておりません。 この『HACCPに沿った衛生管理』は認証機関を通してチェックされるのではなく、 保健所がこれまで定期的に行ってきた検査時に併せてチェックします。 HACCP認証はあくまで対外的に衛生への取り組みをアピールするために取得する ISO22000やFSSC22000と同じような立ち位置です。 なお、このHACCP認証が法律上必要とされていないことは 厚生労働省のHACCPに関わるQ&Aに明記されています。
◆設備投資の有無 HACCP義務化に伴い、 特別な衛生機器・設備の導入が必要ではないかと相談を受けることが多くあります。 結論から申し上げますと、HACCP義務化対応に設備投資は必要ではありません。 そもそも、HACCP義務化の目的は食品の安全性の向上を図ることにあります。
こちらの表が指し示すように、近年食中毒事故の発生件数は下げ止まり傾向にあります。 そのため、管理体制を見直し、会社全体で衛生レベルを引き上げることが必要でした。 また、オリンピック等の国際行事も多く開催等から国際基準の衛生管理を行う必要があるのです。 これらは一部の企業のみではなく、日本すべての企業全体で取り組む必要があり、 これにはもちろん地域のパパママ・ストアと呼ばれるような零細企業も含みます。 そのような零細企業は設備投資をする余力がないので、 国全体の食品等事業者には投資を必要としない 「管理体制の構築」をHACCP義務化では課せられています。 もちろん、先述したHACCP認証取得の際には設備投資が必要な場合があります。 HACCP義務化である『HACCPに沿った衛生管理』と 『HACCP認証』を混合されないようお気を付けください。 HACCPについてより詳しくお知りになりたい方はお気軽にご連絡ください。