2021年6月 食品ビジネス経営研究会 例会 | 食品メーカー・販売店の経営相談・コンサルティングは、実績豊富な船井総研フードビジネス支援部へ!

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コンサルタントコラム
食品
2021/7/08

2021年6月 食品ビジネス経営研究会 例会

【第1講座】

 

茂木食品工業株式会社

代表取締役社長 茂木進氏

 

~田舎の小さな蒟蒻屋がイノベーションを起こし続けるための思考法~

 

<企業紹介>

〇1960年に茂木社長の父により「茂木安伴商店」として創業

1971年に現在の社名「茂木食品工業株式会社」となる

平成16年より、茂木進社長が就任

創業時より続く「水かき缶蒸し製法」によってこんにゃくの製造を行う

〇【こんにゃくを通して世の中の「あったらいいね」を創造し、人々の心を豊かにする】

を企業理念に掲げられ、世の中に必要とされる、100年企業を目指す

〇2002年よりECサイトでの販売も行われており、販路の拡大を行う

 

<こんにゃく業界を取り巻く環境>

〇1人あたりのこんにゃく年間消費金額は30年間で半減

→2020年の年間消費金額621円は、板こんにゃく5枚程度でしかない

→こんにゃくの消費量減少に伴い、こんにゃく芋の収穫量も30年間で半減した

→大手こんにゃくメーカーの大量生産により、低価格化が進む

→観光土産としての需要も、他の製品に押されて減少

〇業界を取り巻く環境が大きく変化

→時代に合ったこんにゃく商品の開発が必要

 

<商品開発の事例紹介>

〇手軽に食べられる、こんにゃく商品の開発を行う

→味付け乾燥こんにゃく、塩昆布風こんにゃく、こんにゃく芋チップスなど

〇「みそ漬けこんにゃく」を開発

→「きゅうりや大根のみそ漬けはあるのに、こんにゃくはないよね。」という些細な会話から開発のアイデアを得る

→強アルカリ性のこんにゃくと、酸性のみそのpH調整が難航

→1年半の開発研究の末、「みそ漬けこんにゃく」が完成

→これまでにない新商品として、順調な売れ行きとなる

〇模倣品、同様の商品が他社から販売される

→このままでは埋もれてしまうと感じ、新商品の開発を模索

〇2年の開発研究の末、「ちょこっと酢っぱ」を開発

→手軽に食べられる、味付きのこんにゃく

〇3年の開発研究の末、「ほろっと崩れるこんにゃく」を開発

→こんにゃくは栄養価が高く、介護食に向いている食品であるが、のどに詰まらせる危険があり、細かく刻む調理法は手間がかかるという点から既存商品の使用が難しい

→柔らかく、見た目にも美味しそうな商品の開発を掲げる

→弾力、味の調整が難航し、3年で50回以上の失敗

→突然のひらめきから、開発に成功する

→特許を取得され、発明協会より「発明奨励賞」を受賞

→現在は、OEM商品の開発も行う

〇大豆ミート市場への参入

→大豆パウダーを使用した、肉を使用しないソーセージの開発を模索する

→大豆とおからの配合分量、成型方法、食感の改善の試行錯誤を繰り返す

〇日本初の「ヴィーガンソーセージ」を開発

→「まるでソーセージ」「SOYウインナー」として商品化

→オリンピック開催によるインバウンド需要を見込んでいたが、延期となる

〇コロナ危機を乗り切る施策

→インバウンド需要が見込めなくなったことに加え、休業要請の影響により、業務用商品

お土産商品など、売上構成の60%が消滅

→急激に拡大していた、プラントベースミート市場に注目される

〇1年の開発研究の末、「サラダバーグ」を商品化

→コロナ危機を乗り切る為、予定を前倒しで開発をすすめる

→フーデックスジャパンに出店すると大盛況、多くのお客様に評価される

〇補助金の活用

→各種補助金の支援によって、商品開発を継続している

 

<商品開発に大切な3要素>

①傾聴の姿勢でニーズを探る

→ニーズとは誰かが必要としているもので、多くの人との対話の中で、様々なニーズを

インプットしておく

②思いついたアイデアを形にする

→ニーズがあっても形にしないと意味がない、過程の中で新たな発見もあるはずなので、

それを詳細に記録することが重要

 

③とにかく継続する

→基礎研究の継続が重要。自分が売れると思っても、市場にマッチしないことは多い

→プロセスに意味を持つことが重要。模倣品の登場といった危機感を持ち続けることで、新商品の開発意識が高まる

→気になるキーワードをインプットしておくことで、ふとした瞬間のひらめきに繋がる

 

<今後の取り組み>

〇新商品の開発

→ヴィーガン向けの寿司ネタ、こんにゃくによる食器・ストローの代用品、こんにゃく麺、

こんにゃく製の研修医用模擬臓器など

→アイデアを口にすることで、社内でも商品開発に対する関心が高まっている

→固定概念に囚われず、可能性を模索し続けることが重要

〇品質管理、衛生管理の必要性

→ISOを取得し、品質管理・衛生管理にも注力している

→HACCPの実現に向け、社内での勉強会も行う

〇事業の更なる拡大に向けて

→3人のご子息が入社され、SNSでの情報発信など新たな環境への対応を担当している

→開発を続けることが、100年企業への足固めとなる

→新卒の採用、OJTの推進など、社内体制の強化に取り組む

 

<気づきの共有>

・茂木食品工業様は、衰退業界の中で成長を続けている注目企業

・「より良い商品」「より良いブランドを磨く」では売上アップにはつながりにくい

→消費量・消費金額は基本的に変わらないため

・衰退業界での商品政策

1,売り場・棚の増加

2,他社商品からの置き換え

3,消費量・利用頻度アップ提案

4,上位商品への誘導

5,ターゲットの変更

→ヴィーガンに向けた商品を販売すること

6,別市場商品としての展開

→こんにゃくではなくハンバーグとして販売された「サラダバーグ」

「あったらいいね」を実現し、常にニーズを探られている

 

 

【第2講座】

 

株式会社花安新発田斎場

常務取締役 渡辺安之氏

 

~時代を見据えた組織改革と新規事業~

 

<企業紹介>

〇会社概要

新潟県新発田市で葬儀会社を営まれている

「過去の縁、現在の縁、未来の縁をつなぐ」ことをミッションとして掲げる

→縁によって生かされ、過去の縁が現在の縁、未来の縁へと繋がっている、縁によって

人々の幸せの実現を目的とし、社会に貢献することを使命としている

〇花安「ニューノーマル」への挑戦

不易「変わらないもの、変えてはいけないもの」=本質

流行「変わるもの、変えるべきもの」=時流適応

→人口減少、高齢化、コロナウイルスなど、業界を取り巻く環境は変化しているが、不易

と流行を意識し、挑戦を続けている

 

<花安新発田斎場が実現する10年プラン>

〇地縁型サービスインフラ企業へ

→生前死後でエンディングにかかわる事業、地域を繋げる収益事業を創る地縁型サービスインフラ企業を目指されている

→2019~2021年【組織開発】地域で憧れの会社組織へ(高収益化、組織改編)

2022~2025年【事業開発】圧倒的地域一番店へ(ドミナント展開、事業領域の拡大)

2026~2029年【事業展開】地区外進出(多角化による販路拡大)

 →「地縁型サービスインフラ企業」の実現に向けた10年プランを進めている

〇2020~2023中期経営計画

→コロナの影響を受けながらも、毎年103%以上の持続的成長を見込んでいる

 

<他社との差別化のポイント>

①葬儀の多様化

→一般葬儀だけでなく、社葬(会社の葬儀)、寺院葬など幅広いニーズに対応

②小規模葬儀の増加

→大規模ホールでの葬儀は、近年減少している

→コロナ以前から、小規模葬儀へのシフトを進めていた

③葬儀と仏事の専門店化

→お花のお届けサービス、専任担当制、仏壇・墓石・ご法要の相談など、仏事への

対応も行う

→地域の団体、組合に所属し、地域ネットワークとのつながりを重視している

④お気軽にご相談いただける仕組みづくり

→入りやすい雰囲気の店舗づくり

→会員制度を創設し、加盟店を募集、加盟店で使える、商品券の送付などを行う

地域商店、お客様とのつながりの構築を重視している(加盟店約200店)

→会員向けのセミナー、見学会、会報の発行などを行う

お焚き上げ、遺品整理事業など葬儀以外の分野へも取り組む

 

<稼ぐ新規事業>

〇お墓事業の拡大

→永大供養付きの、後継者不在でも安心の個人・家族のお墓を開発

霊園のオープンから1か月で半分以上の新規成約に成功する

〇会員向けの旅行ツアーの実施

〇軽トラ市・Run伴など各種イベントに参加している

→公共性の高いブランディングを進めている

 

<中期経営計画達成のための地域戦略>

〇「しばた寺びらき」の実施

①寺町周辺にある宗派の異なる、11の寺院で、写経や座禅の体験、本堂でのライブや

講演、精進料理の振舞いなど各寺院でのイベントの開催

②寺町通り、本堂、境内に地域のグルメ、雑貨、服飾など約60店舗を出店

③地元酒造の「蔵開き」、諏訪神社「社びらき」の同時開催

→「城下町しばた」の魅力を、その構成要素である「お寺」を通して再認識することが

目的、地域住民のまちづくり活動への参画を促進する

→地元企業、社会福祉法人、教育機関、ボランティア団体などと連携して開催

〇寺町たまり駅(新発田市指定管理業務)

→観光協会から、指定管理業務の引継ぎを受け、「お土産カフェ」にリニューアル

限定コラボ商品の開発、地域イベントの主催・運営を行う

→観光協会から引継ぎ後、売上高昨対153%、来場者133%を達成

→行政からの依頼で業務委託を受注し、最適に事業が開店する仕組みを作る

観光施設、地域イベント、地域業者の縁をつなげる

 

 

<地域戦略実現のための稼ぐ新規事業>

〇クラフトビール開発プロジェクト

観光客向けレストラン併設型マイクロブルワリーの出店

→観光地×レストラン併設×マイクロブルワリー、地元観光地の「月岡温泉」へ出店

 

【月岡ブルワリーの初期マーケティング】

・毎週のように仕込みができる高回転の商品開発による多種多様な味と香りの提供

・クラフトビールの参入コストが低減したのがきっかけ

・ナショナルビール・清酒の酒類販売量減に伴う、リキュール・その他醸造酒の需要増加

・月岡温泉の個人観光客をターゲットの「ビール×レストラン」

・商圏内での先行者メリットの大きさ

→コンセプトに“飲む人と人が「つながる」ビールをつくること”を掲げられている

 

〇月岡ブルワリーのメディア戦略

①クラウドファンディングの活用

→目標100万円のところ、300万円の調達に成功、地域からの関心度・期待度が高まる

②メディア告知

→テレビ、新聞、ラジオ、ネット、雑誌、イベント等ありとあらゆるメディアへの告知

③コンペティション、品評会への参加

→新潟デザインコンペティションへの出品依頼

→醸造スタートから、わずか3か月で「ジャパングレートビアアワーズ2021」

全3品受賞という快挙を達成

 

<月岡ブルワリーの成功要因>

〇立地

→月岡温泉のブランド、足湯という自動集客装置、先行事業者からの情報収集

〇ヒト

→全社を巻き込んだ担当・分業制(醸造、飲食、マーケティング、販促など)

→社外サポーターの存在(協力者、行政、月岡を巻き込む)

〇スキマ

→競合しない(地域一番店のポジションを確立)

→先行者メリットの大きさ

→ブランディング(メディア戦略によるスタートダッシュ)

・全員が個々に強みを生かし、柔軟性を持ちながら動いていることが成功要因である

 

 

<新規事業開発プロセス>

〇社内編

仲間づくりの重要性

→メンバーの分野ごとに強みを生かして一緒に動く

→社内でも影響力のある人に協力を依頼し、複数の若手を巻き込むことに成功

→既存事業だけでこのままいけるのか?という危機感の醸成

・社内に3割の賛同者がいることで、マイノリティではなくなる

〇社外編

仲間づくりと話題作り

→プロジェクトメンバーは全員知り合いという関係性

→地元企業の社長、有名料理店、卸業者、行政も巻き込んで、新発田と月岡をつなぐ

→段階に分け、ありとあらゆる媒体で話題を発信

〇コンセプト

→温泉の色にちなんだ「エメラルドエール」

→店舗の前に足湯があるので「湯上りベールエール」

→「もっと美人になれる湯」にちなみ「ヴァイツェンナチュラル」

・とにかく、新発田・月岡を推した商品を展開している

→縁をつなげる範囲が拡大、ビールというツールを使って地域を盛り上げることが目的

コロナに翻弄されながらも、柔軟に対応し大健闘

 

<アフターコロナを見据えた方向性>

〇外部環境

→1年目は、コロナの影響から数値予想が困難な1年となる。観光需要の戻りが鈍く

月岡の経済損失は大きいが、月岡全体での支援が手厚く、ネームバリューも高い

〇現在までのデータからわかったこと

→月岡のお土産需要が高い

→限定品は季節指数に左右されにくい

→「飲食体験」で付加価値をつける(インスタ映え、食べ歩き)

→販路拡大は諸刃の剣(WEBを含め、限定的に販路の拡大を行う)

・独りで勝つのではなく、地域協働(エリア・地域)で勝ち取る

〇「新潟で一番地域にコミットするブルワリー」実現のステップ

①更なるブランド向上

→月岡を代表するお土産を目指す

→季節限定ビールの醸造

→販路拡大は新発田・月岡中心に行う

 

②飲食部門で更なる利益拡大

→月岡にわざわざ食べに来たいと思われる商品を作成

→四季の食材を使った地場食材の料理の強化

→外テーブルの設置で体験強化

③エリア全体を見据えた種まき

→次の展開を視野に入れた地域コラボを積極的に行う(地域コラボで認知エリア拡大)

→ビールをツールとして地域に根付かせる

→ECサイトの導入(WEB販売、予約から店頭へ誘致)

 

<中小企業から「地縁企業」へ>

〇本格化するLTV(顧客生涯価値)の向上

①お客様の数を増やす

②お客様との接点を増やす

③お客様の満足度を上げる

→口コミ・紹介が生まれることで、新たな顧客が生まれる好循環を生む

→同じ地域の中での、価値をさらに高める

→生前から事後もあらゆるニーズの対応でLTVを高める

〇花安の社会的役割とは

「不安の解消と豊かな人生に貢献」が社会的な役割である

→積極的に接点を創り、スタッフ総出で地域に溶け込み、お客様との信頼関係を構築する

→「孤独をなくし、縁でいっぱいの温かい地域社会づくり」の実現を目指される

 

 

【第3講座】

 

船井総合研究所地方創生支援部

チーフコンサルタント 中野一平

 

~夏・中元対策と衰退業界での商品政策~

 

<春・初夏の動き>

〇通信販売

→前年の店舗休業に伴い実施した、臨時企画、巣ごもりセット、大幅割引、送料無料など

を今年は実施しなかったので、前年割れの可能性もある

→既存顧客(リピーター)と新規顧客を確認することが必要

・それでも伸びている企業では、新商品・新企画を展開

〇店舗(観光地)

→前年オーバーは当然として、前々年との比較は立地や規模、業態にもよるが、

概ね20~40%の減少

〇店舗(地元向け)

→コロナ禍でも“攻めている”店舗は好調

・店舗でのミニイベント→来店のきっかけ作り

・既存顧客へのハガキDM、LINEでの呼びかけ

・地元への折込みチラシ、ポスティング

 

<夏・中元商戦対策>

〇非安売りでの展開

→ギフトセンターからECへの誘導強化(5月中旬からお中元企画スタート)

→ギフト以外の「自宅用」、地域品の強化を

〇自宅にいながら楽しめる商品の展開

・有名飲食店のメニューを楽しめる“プチ贅沢”

・旅行気分を味わえる地域特産品

・保存期間が長く、調理も簡単な「ストックフード(冷凍食品・おしゃれ缶詰)」

〇ギフトは脱・定番アイテムへ

・なかなか会えない大切な人に喜ばれるギフト

・帰省代わりに特別感のある、客予算が上のギフト

 

<衰退業界での商品政策>

まずはツイている商品を見つけ強化、自社になければ業界、施設、ECモールで発見

  • 売り場・棚の増加(ECプラットフォーム・モールの活用)
  • 他社商品から置き換え(価値訴求、置き換え理由が必要)
  • 消費量・利用頻度アップ(年間の消費量・金額は決まっている、マーケットが大きい市場と絡めることで、消費量アップに)
  • 上位商品への誘導(量が変わらなければ、高く売る、利益を取る)
  • ターゲットの変更(新ブランド、新形態など、新たな取り組み・商品改良が必要)
  • 別市場商品として展開(マーケットの大きい市場を狙う)
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