2019年10月度 食品ビジネス経営研究会 | 船井総研 フード支援部

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コンサルタントコラム
食品
2019/10/09

2019年10月度 食品ビジネス経営研究会

2019年10月度 食品ビジネス経営研究会

【第一講座】
浅間酒造様 ‐「浅間酒造観光センター」の歩みとこれから-
浅間酒造株式会社 
代表取締役 櫻井武 氏

◆浅間酒造株式会社とは
 江戸時代末期より創業されている浅間酒造様は、酒造だけでなく宿泊施設経営、浅間酒造観光センターなど他事業展開されています。浅間酒造観光センター様はプロが選ぶ観光・食事・土産施設100選に23年連続1位を獲得しています。

◆観光業への参入と発展
 浅間酒造様の先々代が、今後日本が発展するうえで観光業の発展が必要になると考え、浅間酒造のお酒をより多くの方に飲んでいただくために消費の場として草津温泉にホテル櫻井を開業されました。浅間酒造観光センター開業の経緯は、直販による利益率を向上させるためでした。
 観光業に参入することで、メリットもありますが、デメリットもありました。メリットは2つございます。一つ目は、キャッシュフロー、収益性の改善となり、より安定した経営が可能となりました。二つ目は、酒造の販売先の6割が自社の観光センターであることから、他の酒造ではできない酒造りに挑戦できることです。上記のように、良い反面もありますがそれによるデメリットもございます。一つ目は、お酒目的ではなく、観光目的で来店される方が増加し、メーカーのブランド力が向上しづらくなりました。二つ目は、販売先の6割が確保されていることから、従業員の甘えが出てしまったことです。
 世の中の観光の仕方が大きく変わったことで観光客の対応方法も大きく変化します。以前は日本の観光であると団体旅行がほとんどを占めていましたが、近年は個人旅行が多くを占めるようになりました。それに伴い、土産の購入目的が大きく変わり、以前のように土産が多く売れる時代ではなくなりました。また、自然災害の増加により観光客数が減少し今まで通りの売上に届かないこともあります。上記のように顧客の観光目的や方法が大きく変わる中、今後はより地域に根付いた商品開発を行い、自社販売することが重要になります。

◆酒造×観光業の取り組み
 観光目的が大きく変わる中、顧客のニーズに答えることが重要になります。近年の顧客のニーズに答えるために、そこでしか買えないもの、食べられないもの、体験できないことを提供し、発信していくことが重要になります。例えば、浅間山の噴火カレー、八ッ場ダムカレーなどその地にある観光資産を活かした商品を提供されています。
 製造業として観光地の魅力を上げるために数多くの取り組みをされています。一つ目は、長野原町を盛り上げるため、休耕田を活かした酒米の作付から醸造まで六次産業化しています。二つ目は、地元の特産品を利用し、生乳を利用したヨーグルト酒の開発販売を行っています。三つ目は、跡見女子大学との連携により、地域まちづくりに取り組まれています。四つ目は、製造部として地元のお米を活かした草津温泉の特産品を醸造されています。五つ目は、地域農家様からの特産品製造依頼があり、農家の方からお米を預かり、代わりに酒造りを行っています。

◆浅間酒造のこれから
 いかに個人客の来店数を増加させるかが今後の観光客誘致において重要であることから、今まで実施されていなかった蔵見学ツアーを強化し、新規顧客の開拓をしています。また、果実酒免許を活かし、新しい酒造りの強化をしていくご予定です。
 食品メーカーがより利益率を上げるためには、いかにして直販へ顧客を誘致することにあります。浅間酒造様は直販と卸の割合を50:50になるようにするため、外販人材を採用し、直販の割合をより高める挑戦をされています。

【第二講座】
地域の活性化・観光インバウンドへも効果的~ハラール事業最前線~
株式会社Bizres 代表取締役
株式会社キュアテックス 経営戦略室室長
小林 昇太郎 氏

◆ハラール事業に関して
 2020年には、世界の4人に1人がムスリムになる時代。このように人口ボリューム=観光客マーケットが大きいため、ムスリムアジア圏観光客向けの施策を積極的に行うことが重要です。ホテルでは、ムスリムが安心して礼拝ができるようなスペースを常設する事例も。ムスリムが旅行で1番不安に感じるポイントは自分たちが食べることができる食事があるかどうか、このハラールフードマーケットにチャンスがあるとチャレンジしました。

◆ハラール事業への取り組み
 ハラール事業へ取り組むうえでの最大のポイントは、ムスリム信者の中でも価値観の違いがあることを理解し、彼らが何を求めているのか、また、彼らが知りたがっている使用食材の有無を伝えることです。日本食材とハラール食材の親和性は非常に高いため、マーケットの大きさと日本食材の多様性に着目。
 日本で初めて、「JAKIM(マレーシア政府ハラル認証機関)」を取ったセントラルキッチン「楽」を運営。こちらでハラールフードを開発・生産し、解凍するだけで販売できるものを全国のホテルや飲食店、サービスエリアに展開するビジネスモデルを確立しました。すると、ムスリムのお客様だけではなく、その他外国人、日本人の健康意識の高い人たちにも需要のある商材へ。

◆事業の流れ
 ハラールメニューの開発のために、どのように調味料や食材を置き換え、ハラール使用のものにするか、クライアント様の要望に合わせて提案しています。また、このハラールフードをどのように海外展開するのか、その販路開拓まで請け負います。
 このようなハラールフードを2018年伊勢丹のお中元にて販売したところ、ムスリム信者だけでなくアレルギー、ベジタリアン、オーガニック志向の日本女性に大反響がありました。ゆえに、このビジネスモデルはムスリムだけでなく、国内の健康志向マーケットへ響くといえます。

◆どのように取り組むのか
 ①ノーポーク・ノンアルコール
 ②国内認証取得ムスリムフレンドリー(10万円)
 ③海外認証取得
上記3ステップでチャレンジでき、費用も比較的安価。

◆ハラール事業事例
 お好み焼きチェーン店でビジネスモデルを展開。お好み焼きに使用される豚肉部分をハラール食材へ変更する必要性がありました。その開発・生産投資を抑えるために、セントラルキッチン「楽」にて生産し、卸す方向性へ。こちらをインバウンド市場、ムスリム市場へ展開。
 その他製麺会社でも、ハラール認証を取得し、商品のパッケージにて「ポーク・アルコール不使用、小麦を一切使用していない」ことを訴求。

◆まとめ
 『日本料理×地域食材×ハラル』この掛け合わせが日本のインバウンドマーケットに新たな価値を生み出しました。各地域、地域企業との接点を増やし、その地域にしかない食材をハラールフードと掛け合わせ、観光客増加へ、そして地域創生・地域活性化へつながる取り組みを行っていきます。
2019年10月度 食品ビジネス経営研究会

【船井講座】
WEBを活用した海外輸出戦略
株式会社船井総合研究所 坂本 俊明

食の成長マーケットは3つ存在する 健康食・国内観光・海外輸出

◆海外市場の可能性
・今年には、農林水産物・食品の輸出額が1兆円に達する見込み。(7年で2倍以上の伸び)
・海外で日本食レストランは伸びており、中でもアジアでは2015年から1.5倍以上の伸び率を見せています。

◆輸出に取り組む際のバイヤーの探し方
・リスク、投資額という面から越境ECと展示会が参入のしやすい進出形態
 → その中でも、越境ECは時間・コスト・人員配置・語学の問題をクリアできます
・BtoB越境ECの世界最大手アリババ
 → 他サイトとの比較:世界最大のマッチングサイトである点、日本語のサポートがある点、オリジナルデザインの製品ページの作成が可能、月額定額製で手数料がありません。
 → 活用メリット:日本にいながら海外バイヤーに会える、既存の販路の拡大効率化、英語HPの代行作成サービスです。(英語の商品カタログとして活用できます)

◆人口12万の地方都市で海外輸出
- 香月園様の事例
・愛媛県にある売り上げ約5億円の茶商
・海外売上比率が40%
・EC事業により、地域の消費者だけでなく、世界中の消費者を購買可能にした
・アリババを通して、OEMの受注が増加
・受注スタッフ1名で行っており、Google翻訳機能を駆使して対応している
・アリババ経由での販売は、東アジアが40%で欧米での売上も3割以上ある
・英語力がボトルネックではない。国内法人営業の経験があれば、語学力がなくても対応可能な事例
・クラウドワークスなどで、現地で商談の際にも、ローコストで通訳の方に来ていただくことが可能
・訴訟リスクもあるがPL保険でカバーできる部分もある

◆結論
- 香月園様の事例のように、アリババ等を活用することで、海外BtoB輸出の課題(販売先の確保・必要資金の確保・ニーズ・人材確保・訴訟リスク)を克服し、海外輸出に成功されている事例もあります。
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