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経営コンサルティングの船井総研 フード支援部
マネージング・ディレクター/シニア経営コンサルタント
横山 玟洙

船井総研入社後、食品メーカー・小売店のコンサルティングに従事。船井流の食品小売のノウハウを活かし、小売店の活性化はもとより、メーカー・卸の直販事業強化や6次産業化を専門にコンサルティングを行っています。

若年層を取り込む菓子店がしている取り組み
スイーツ
2019/12/17
若年層を取り込む菓子店がしている取り組み

 最近菓子店でよく耳にするのが、客単価は昨年対比で上がっているが、客数が昨年対比で下がっているという話です。特に客数を分解してみていくと、若年層(15歳~34歳)が圧倒的に来店されていないそうです。

 周知の通り、地方を中心に人口減少が続く中で、将来に続く見込み客でもある地域にいる若年客層を早期に囲い込み、育てていくことは必要不可欠です。ただ、多くの菓子店にとって悩ましいのがそんな若年層に対して認知してもらう、購入してもらうきっかけが不足していることです。

 ただ、そんな中でも上手く若年層が多く来店するような菓子店もあります。そのような菓子店が取り組んでいることをまとめさせていただきますと、大きく4点です。

 

1.若年層に好まれる菓子を強化

2.異業種とのコラボによる若年層の取り込み

3.プロモーション―① TV・WEBメディアを中心とした広報活動

4.プロモーション―② SNSを中心とした顧客育成

 

「1.若年層に好まれる菓子を強化」

 

 まず近年、若年層を巻き込んだ人気の菓子店でつくる商品づくりでもしっかりとターゲットに合わせたた菓子を強化しています。その特徴として大きく3点挙げられます。

①若年層が好きな菓子を主力化、もしくは準主力化させている

②食感がやわらか、なめらかで、甘い菓子が人気になっている

③見た目で大きく差別化された菓子で話題になっている

 

―①若年層が好きな菓子を主力化、準主力化させている

 客層を広く取れている菓子店の特徴として、やはり人気商品のカテゴリが若年層にも受けるような商品を品揃えされているケースがほとんどです。ある統計データでは全国の20代男女に聞いた好きなスイーツのうち、普段から最もよく食べているもののランキングTOP10が出されており、ランキングで見ていると特徴的なのが、大福・羊羹を中心とした和菓子が意外と人気上位に入ってきていることです。中でもフルーツ大福は多くのファンがいると調査レポートには記載されているほどです。実は全国を見ていきますと、現在好調な和菓子店は大福を主力にしているケースが多くあります。例えば、香川県高松市にある「夢果房たから」、岐阜県加茂郡にある「養老軒」など主力単品は大福で人気がある和菓子店が好調になっています。

 

―②食感がやわらか、なめらかで、甘い菓子が人気になっている

 昔ながらの商品で、上手く若年層を取り込んだ最たる例でいきますと、八つ橋が挙げられます。明治時代から販売されていた八つ橋ですが、その後出てきた柔らかい触感でより甘い生八つ橋の方を若年層はほとんど買っていきます。これと同じ現象が他の単品でも見られ、餅米を使った大福ではなく、柔らかくて甘い求肥を使った大福が若年層には人気になっています。このような若年層を中心とした味覚・食感のトレンドを商品開発の際には盛り込んでいく必要があります。

 

―③見た目で大きく差別化された菓子で話題になっている

 近年、若年層を中心とした購買行動の変化ですと、“インスタ映え”という言葉が流行したように、初回購入のきっかけの中でも見た目の重要度を占める割合が大きくなってきています。若者離れが進むといわれる和菓子業界の中でも、商品開発で見た目のインパクトなどを盛り込んだ和菓子店では、しっかりと若年層の集客に成功されています。例えば、京都にある朧八瑞雲堂では、約5㎝の高さの生クリームをサンドした生どら焼きがSNSで話題を呼び、開店30分で売り切れも続出しています。

 

「2.異業種とのコラボによる若年層の取り込み」

 

 最近、菓子店の中で業績が好調になっている店舗に聞く話が、異業種とのコラボによって今まで訪れなかった、自店の菓子を食べなかった新規客を取り込むことに成功し、売上アップしている事例が増えてきています。ここでいう異業種コラボとは、主にサブカルチャーと呼ばれるような、漫画、アニメ、アイドル、ポピュラー音楽などがメインとなっており、それらと菓子の融合した商品開発やプロモーションが話題となり、認知度アップとともに売上拡大をしているそうです。

 

 例えば、山梨県北杜市にある和菓子店「金精軒製菓」では、元々若年層が利用していたソーシャルゲームのMobageのコンテンツで、アニメ化もされたアイドルマスター SlideMと山梨県がコラボした企画で商品を開発しています。そして、そのコラボした商品は何と通販でも売り出すとすぐに完売する商品になっているそうです。また、そのアニメのファンであったお客様が県外から多く店舗に来店するようになったそうです。

 

 また、他にも静岡県沼津市を中心に展開する菓子店「御菓子処 雅心苑」では、沼津市がラブライブというアニメの聖地となっており、そこで従業員が運用するSNSアカウントでアニメに関連する投稿をSNSしていたところ、そのアニメの聖地巡礼に訪れる方に着目され、遠方のお客様でも聖地巡礼の一環の場所として来店するようになりました。その結果、店舗の昨年対比の売上が130%以上  成長しているそうです。

 

 これらの多くの菓子店で異業種コラボが上手くいっているケースを見ていると、そんな若年層もしくは普段自店の菓子を買わないような客層が、自店を知るきっかけ、購買するきっかけとなっているのです。

 自身の好きなサブカルチャーとコラボしている菓子だから買ってみよう、そんな店舗に行ってみようというお客様の購買行動が増えているのです。実は、ある女子大生を中心とした統計データによると、好きなキャラクターがいる場合、約7割以上の方がそれらのキャラがパッケージに入った菓子類を買った経験があると答えているほどです。菓子の中でも和菓子の業界に関しては、上手く若年層を取り込むためには、彼ら・彼女らが好むカルチャーに合わせた商品開発をしていくことが求められているのです。

 

「3.プロモーション―① TV・WEBメディアを中心した広報活動」

 

 ただ、良い商品やコラボをしただけでは、普段から自店に訪れるわけではない若年層を誘客することは非常に難しいです。そのため、しっかりとプロモーションの方法も若年層に合わせた取り組みが必要になってきます。若年層を取り込むために中でも重要なのが、TV・WEBメディアを中心とした広報活動です。今まで全国の売れている菓子の話や、若年層を巻き込んだ地域で圧倒的に有名になった菓子、地域で多くのお客様が買っている菓子の誕生したきっかけを数多く調べてきましたが、実は95%以上は何らかのメディア掲載が名物菓子の誕生のきっかけになっています。

 そして、そんな名物菓子を誕生させるためにメディアを活用することは重要することですが、その前にメディアの特性を理解することが大事です。中でも重要なメディアの特性として挙げられるのが、いきなり影響度のあるTV番組に取り上げられるわけではないということです。地元の新聞やWEB上での記事などの掲載を見た、もしくは話を聞いたTV番組編集者が連鎖的に取り上げているケースがほとんどです。そのためにも、よくご紹介させて頂いている、まずは地元メディアを呼んだ地元メディア向けのご試食会や、WEB上のリリース代行会社(弊社では@プレスをよく利用)を使って、まずはWEBメディア上へ情報を発信していくことが大切になります。

 

「4.プロモーション―② SNSを中心した顧客の育成」

 

 また、若年層を継続的に来店してもらうためにする固定客化の施策も今までの紙媒体やポイントカードを中心としたものから変わってきています。現在、若年層を中心にSNSの利用率は8割以上という統計データも出ているほど、何らかのSNSをほぼ利用しています。また、SNSの使われ方も変化をしてきており、今までは自身の投稿をするための場所という立ち位置でしたが、今では情報を収集するための場所として使われるケースが多くなってきています。そんなSNSの使われ方の変化を捉え、すでに取り組みをしている菓子店では自店との関係づくりの接点としてSNSを使い、そこでお客様を育てています。

 例えば、老舗和菓子店の中でSNSを中心に顧客基盤を形成されているのが東京都江東区にあり、くず餅で有名な「船橋屋」です。Facebookだけでフォロワーが10,000人以上、Twitterでも5,000人以上がフォローしており、SNSだけでも15,000人以上の顧客基盤を作っており、その中で常に新商品の情報やイベントなどを発信されています。

 

 以上、実際に多くの菓子店ですでに成功された事例を中心に、若年層を取り込むためのポイントについて紹介しました。人口減少が進んでいる地方でこそ、いかにして多くの客層を取り込んでいこうかという課題は直近の売上課題としても急務だと思います。ただ、自店の永続性を考えていきますといずれ地域で最も家計支出が増える若年層をいかに他店よりも早く取り込んでいくのかということは非常に重要な経営課題です。そんな中、新商品開発の際に、思い浮かべるお客様は、「どうしたらいつものお客様にさらに喜んでもらえるだろうか?」という近視眼的な目線になっていませんでしょうか。確かに、より今のお客様に満足して頂くことはビジネスとして非常に重要なことだと思います。ですが、「どうしたらより多くの新しいお客様にも喜んでいただけるだろうか?」という若年層を含めたより多くのお客様に満足して頂けるような商品開発、プロモーションの視点で本文をここまでお読みいただいた読者の菓子店の方に実践して頂ければと思います。

執筆者
マネージング・ディレクター/シニア経営コンサルタント
横山 玟洙
プロフィール

なぜ、あなたの会社の海外進出は失敗したのか!?
食品
2019/10/23
なぜ、あなたの会社の海外進出は失敗したのか!?

内需の減少が続いていく中、国も中小食品メーカーの輸出支援を促進しています。

 

とは言え、多くの中小食品メーカーがこれまで「何らかの形で輸出や海外進出」に触れてきたものの、思ったような成果が上がらず、事業の撤退や海外進出を諦めてしまった企業が少なくないのではないでしょうか?

 

多くの中小食品メーカーはこれまで、海外輸出事業を伸ばすために利用してきた海外展示会。

 

1回の出展に200~500万のコストがかかる一方で、成約につながるのは1件あれば良い方。

 

人もお金も時間も限られている中小企業にとって、費用対効果が合わないと展示会を何度か出展した後、海外進出・輸出を諦める企業が大半でした。

 

このような中、海外展示会への出展など大きなコストをかけずに、輸出を拡大している企業が愛媛県にあります。

 

人口12万人の愛媛県新居浜市にある㈱香月園です。

 

お茶と茶道具の小売・卸を営む株式会社香月園。

 

地元の人口減少に危機感を感じ、WEBを活用した海外輸出に積極的に取り組み、

開始から2年2ヶ月で50数カ国の海外の国と取引を行われています。

また、取組開始6ヶ月で、月商100万から1200万と12倍に事業が拡大し、現在、海外輸出売上は2億円まで伸びています。

 

内需が萎む一方で、海外では日本食レストランが急激に伸びています。和食の世界遺産登録など日本食が注目を集め、東京オリンピックを契機にまた一気に海外での日本食の普及は広がると考えられます。

 

海外事業の展開は、展示会や現地法人の設立といった手法だけでなく、WEBも使うことで、中小企業で収益を生み出すことのできる生産性の高い事業となります。

 

本レポートで紹介した㈱香月園の取組は以下に詳細をまとめていますので是非ご覧ください。

https://sem.funai-food-business.com/seminar/051673/#_ga=2.159005180.777550852.1570749547-779520490.1551824581

 

 

執筆者
マネージング・ディレクター/シニア経営コンサルタント
横山 玟洙
プロフィール

お菓子業界の動向~京都の菓子マーケットより~| フード支援部 | 経営コンサルティングの船井総研
スイーツ
2019/9/13
お菓子業界の動向~京都の菓子マーケットより~| フード支援部 | 経営コンサルティングの船井総研

 

1.今、改めて「日本の菓子業界」を見直すなら京都へ!

 

現在、京都市には多数のインバウンド客が来ており、2018年の外国人宿泊客数は450万人になります。ただ、一方で京都市は2005年から人口減少し、高齢化している都市です。そのため、いかにして従来だけのお客様だけでなく、新規の客層を取り込んでいくかが重要になっている先進的な都市部になっています。

 

また、京都は元々和菓子文化でしたが、今では全国菓子消費金額市町村別ランキングでも洋生菓子の消費金額でTOP10入りするなど、京都市民全体として洋菓子文化を取り入れている地域になっています。そのため、国民の味覚の変化に合わせた店舗₋商品開発が必要とされる地域になっています。

 

2.そんな市場動向の中、注目のブランドが京都から多数!

 

<単一素材に特化させた店舗ブランド>

・素材特化型のスイーツ専門店で行列する店舗(三条)

・素材特化×単品特化のスイーツ専門店で人気な店舗(三条)

 

<カフェを強化させた体験型・滞在型の菓子店>

・カフェが連日行列で店舗の知名度が拡大(東山)

・カフェの主力単品が有名になり県外客で大行列(東山)

 

<高付加価値の単品に絞った菓子店>

・チョコレートという高付加価値商材に絞った菓子店(三条)

・チーズケーキという高付加価値商材に絞った菓子店(東山)

 

その他様々な注目店舗が誕生してきているのが、京都の菓子マーケットです。ぜひ、この注目のマーケットを令和元年から見ておくべきです。

執筆者
マネージング・ディレクター/シニア経営コンサルタント
横山 玟洙
プロフィール

2019年10月消費税増税に向けての準備
食品
2019/8/27
2019年10月消費税増税に向けての準備

いよいよ2019年10月に消費税が8%から10%へ増税となります。どのような商品が駆け込み需要があるのか、また準備すべき対策を、前回2014年の消費税増税のタイミングで起きたこと、また直近の景況感と合わせて考察してみたいと思います。

 

2014年の増税直前週の生活必需品(飲食料品・雑貨・化粧品)の購買額は対前年42.8%増加したと言われています。

特に日用雑貨品の購買量が伸び、醤油は142%、ミネラルウォーター類は141.6%、インスタントコーヒー140.6%、ビール137.5%、砂糖136.3%、焼酎133.7%、ケチャップ132.6%と比較的長期のストックが可能なものが対前年対比で増税直前の購買が伸びる傾向を示していました。ちなみに購入額の伸び率が最も高かったのは、石鹸163.8%でその他にも、歯ブラシ、シャンプー、台所用品などの伸び率が高い値を示していました。合わせて、2014年の増税直前は「まとめ購買比率」が高った傾向が見られました。

 

今回の増税では前回2014年の増税時と比較して異なるポイントとして、

①飲食料品は軽減税率が適用されること(酒類除く)

②各種キャッシュレス決済サービスのポイント還元などが実施されていること

③食料品の小売チャネルの主戦場がドラックストアに。

ドラックストアでの日用品の増税前のまとめ買い需要と合わせて、食料品類もまとめ買いされることが予想される。

 

といったポイントが挙げられます。

 

今回の増税は軽減税率の適用で飲食料品には影響は出にくいという見方が一般的ではありますが、主に直販・小売りを行う食品メーカー各社の増税に向けての準備としては、

 

①まとめ買いキャンペーンの実施

(特に酒類ならびに、醤油・味噌・漬物類などの長期ストック対応可能な商品)

 

②キャッシュレス決済の導入完了

 

の2点は実施しておく方が、これまでの増税時の購買活動を振り返ると望ましいと言えます。

 

特に10月~11月の季節は特に売上が上がりにくいため、消費税増税前の「まとめ買いセール」を食品通販では実施するのが有効と考えられます。

 

 

****開催予定セミナーのご案内****

食品メーカーのためのお歳暮対策~通販実践編~

開催概要:2019年09月10日(火)

時間:10:30~12:00(※受付時間はセミナー開始時間の30分前)

https://sem.funai-food-business.com/seminar/049635/

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執筆者
マネージング・ディレクター/シニア経営コンサルタント
横山 玟洙
プロフィール