
船井総研入社後、食品メーカー・小売店のコンサルティングに従事。船井流の食品小売のノウハウを活かし、小売店の活性化はもとより、メーカー・卸の直販事業強化や6次産業化を専門にコンサルティングを行っています。



現在、菓子店経営を取り巻く環境は厳しいです。
まず、菓子市場規模の約4割の市場である日常使いのお菓子をコンビニや量販店が手ごろ、
かつ美味しい商品を提供できるようになったことで、市場を取られています。
また、都市圏以外では少子高齢化の影響もあり、多くの菓子店では商圏内の人口が減少しています。
そのため、菓子店の中でも特にロードサイド立地の店舗が苦戦を強いられており、
店舗数は減少傾向にあります。
ただ、そのような厳しい環境下でも異業種から菓子業界の参入で
上手くいっている企業様が多くいらっしゃいます。
・栃木県にある観光土産店がバームクーヘン専門店で菓子業界に参入し、
年商5,000万円から年商1.9億円へ
・沖縄で不動産会社がプリン専門店で菓子業界に参入し、
立ち上げ1年で年商2,500万円、営業利益10%超へ
・奈良で元飲食店がプリン専門店で菓子業界に参入し、
その後県内6店舗展開、年商3億円以上へ
上記のような企業様の成功に共通する点として、2点挙げられます。
1.菓子業界の中でも伸びている観光マーケットを押さえていること
2.主力となる単品を持っていること
また、上記の2点の店舗の特徴として、
低投資かつ高収益なモデルであることから、投資回収も短期間ですることができます。
是非、今後新しく店舗をオープンする方や、現状の菓子店展開に限界を感じられている方は一度、
観光マーケットに特化した店舗づくりをご検討してみてはいかがでしょうか。

2016年・2017年、好調な菓子店のやっていることは
「写真映えする商品×SNS利用」に尽きると言えます。
2015年にオープンした奈良県のプリン専門店「大仏プリン」の本店は、
週末になると購入するまで1時間待ちの行列が当たり前のような状況になっています。
立地は奈良の中心地から車で10分ほど、周りは田畑に囲まれており決して良い立地とは言えません。
奈良市内には駅ナカ店も含めてこの本店以外に5店舗ありますが、
お客さまは本店にわざわざ訪れる。
この理由は
・本店限定のSNS映えする商品
・店内にフォトスポットを設けている
SNSで見た写真と同じように
自分も写真を撮ってSNSにUPしたいというお客様の心理と相まって、
SNSの投稿や口コミが拡散し、数珠つなぎ的に集客のサイクルとなっているのです。
シンプルですが、行列をつくっている店舗の共通項は「写真映えする商品×SNS利用の促進」です。
実際、この菓子店の行列に並んでいるお客様の主な年代層は20代が中心です。
並んでいる待ち時間に、Twitterなどで行列の様子を投稿しています。
SNS映えする商品の特徴は、
① 大きさ・高さでのインパクト
② 1番商品×定番商品
です。
この菓子店の事例では、通常は80mlほどのプリンに加え、
500mlの見た目にインパクトのある商品を付加しています。
また、一番商品のプリンそのものをソフトクリームに入れた
本店限定のプリンソフトクリームがSNSに多く投稿されています。
決して難しいことではなく非常にシンプルです。
今の時代の集客の必勝パターンですので、
ぜひ皆様の店舗の強みを活かしたSNS映えする商品をつくり
集客につなげていただけますと幸いです。
今回紹介した事例店舗:大仏プリン

菓子店のみならず、多くの業種での販促媒体が新聞広告、折込チラシ等の紙媒体からインターネットを活用した方法に大きくシフトしています。
特にLINEやFB、ツイッターなどソーシャルネットワーキングサービス(以下;SNS)を活用した販促が年々重要性を増しています。
日本国内でSNE利用者数が2015年で6450万人、
2017年には6900万人を超え、人口の約70%がSNSを利用する時代になるとの予測が出ています。
また日本新聞協会が発表しているデータでは、
世帯数と新聞発行部数の割合は2000年には1世帯あたり1.13部だったのが、2015年には0.8部と大幅減となっています。
新聞購読率を年齢別に見ると、消費の決定権を握っている女性ですと、
20代3%、30代で12%、40代で24%と40代でも4人に1人は新聞を情報媒体と認識していない時代です。
しかしながら菓子店の対象人口は50代以上が多く、比較的高齢でWEB利用者はまだまだ少ないという声もありますが、
逆に言えば紙媒体に依存していると40代以下世代の大半に情報伝達の手段がない=若い世代の新規集客手法がない・・
という危機的な事実を理解し、対策を練る必要があります。
このような状況の中、SNSを上手に活用している菓子店の事例として、山梨県北社市の金精軒製菓があげられます。
ツイッターのフォロワー数が16000を超え、1投稿あたり1000以上の「いいね!」が集まっています。
写真共有型のSNSの代表例のインスタグラムでも、
金精軒製菓の店舗限定商品である「水信玄餅」は10000を超える投稿数があります。
SNS活用を取り組んでおられる小野氏は、
「SNSの活用は販売促進の手段の一つと言えばそれまでだが、ものづくりにこだわっている菓子店こそやるべき手法。
製造風景や素材へのこだわりを発信することにより、商品の美味しさが伝わり、食べてみようとSNSきっかけで当店を知って頂き来店につながる。
折込チラシや新聞広告など紙媒体でどれだけ商品が美味しい!と伝えても消費者も広告と知っているので伝わらない時代。
SNSは費用もかからず、消費者の評価もいいね数などでわかるので信用度が違います。」
と言います。
また、「SNS発信を強化したことによりテレビや雑誌などの取材が一気に増え、更に新規来店が増えた」とのこと。
メディア側も取材に取り上げる先の情報をSNSで収集していることがわかる事例です。
このSNS活用とメディア実績により発売3年と間もない水信玄餅は
広告費を一切かけなくても行列ができるヒット商品となったのです。