経営コンサルタントのお役立ちコラム | 船井総研 フード支援部

経営コンサルティングの船井総研 フード支援部
小島 佑太

東証一部上場の外食企業にて複数店舗の統括マネジメントを経て船井総合研究所に入社。
入社後は肉バル業態を中心に新店舗出店や既存店の業績アップのための販売促進や商品提案、現場改善&活性化による即時業績UPを行っている。
必要があれば現場に入り込んで直接指導するなど現場主義に徹底的に拘っている。

なぜ飲食店が店舗経営においてDXを進めるべきなのか
外食
2020/9/09
なぜ飲食店が店舗経営においてDXを進めるべきなのか

ここ最近ビジネスの場でよく耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、飲食店の経営課題としてFLコスト増や人手不足に加え、コロナが直撃した事で有店舗ビジネスの在り方が問われています。その中で、解決策の一つがDX化を進める事です。
 
今回は飲食店がコロナ禍において店舗経営でDX化を進めるポイントをまとめさせて頂きました。
 
 

 

■DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」とは、進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていくという考え方で、進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革することを目指しています。
 
 
こちらを飲食店経営に置き換えた際に、飲食店を利用する顧客が得るメリットは
 
①今迄店舗に来店する以外にお店の情報がわからなかったのが、デジタルを通じてオンラインで来店前の有益な情報(どういったお店か、どういった評価があるか)を受け取る事が出来るようになり、来店後の感想をシェア(SNSやGoogleマイビジネス※以下、GMB)する事が可能に。⇒つまり、顧客は店選びでの失敗のリスクが減った
 
②アプリなどによる事前注文で「注文してから出来上がりを待つ時間」が解消された
 
③顧客のスマホを通じて注文をするモバイルオーダーによって、「注文するためにスタッフを呼ぶ手間」が解消された
 
④電子マネーの普及により、「財布にお金を入れて持ち歩く」という手間が解消された
 
⑤店内飲食だけでなく、テイクアウトやデリバリーの注文がしやすくなった事で利用シーンの幅が広がった
 
など、デジタルを通じて顧客の食生活が豊か(=より便利)になっています。
 
また、店舗がデジタル化によって得られるメリットは
 
①ベンダーの言いなりにならず、自分たちで情報発信ができるようになった
⇒ポータルサイトへの広告費やネット予約課金などが掛からずに販売促進が出来るように
 
②事前注文で、ピークタイムのオーダー数の集中が減る
 
③モバイルオーダーにより、「注文を聞く」工数が減る、またタッチパネルと比較すると安価に導入する事が可能になった
 
④キャッシュレスにより、レジ金の準備やカウント、〆作業や両替業務の減少
※しかしながら、キャッシュレスによる手数料が高く、削減出来た人件費分がそのまま手数料によって消える他、入金サイクルが翌月などになる為飲食店での導入が中々進まない
 
⑤業務が効率化され、社員の労働時間が減って人時売上が向上する
 
⑥テイクアウトやデリバリーといった、「今までやってこなかったチャネル(販売経路)から売上が作れるようになった
 
といったメリットが受けられます。
 
 

■飲食店のDX化による目的と目標とは

上述したように、デジタルを通じて顧客にも店側にもメリットがあるDX化ですが、DXをする事による目的と目標を決めていなければ、「ツールを導入しただけ」の状態になり、デジタル化を進める上でのPDCAサイクルが回らなくなります。
 
 
船井総研が提唱する飲食店のDX化の目的と目標は、
目的:デジタルを通じてマーケティングとマネジメントを仕組み化し生産性を高める
目標:人時売上高の向上(労働時間を減らし、売上を上げる)
 
なんとも当たり前ですが、上記が飲食店経営におけるDX化の目的と目標としています。
よくある事ですが「ツールを導入して楽になった」という、P/LやB/Sに影響しない項目は目的と目標から外れているため注意が必要です。
 
外食では業態問わず、人時売上8,000円(業界標準指標の2倍)を目指したいところです。
 
 

■飲食店経営を取り巻く環境について

 
今はコロナの影響の陰に隠れていますが、コロナ前は 1)原価高騰 2)最低賃金の上昇 3)人手不足 4)ポータルサイトへの課金増による広告費増 5)働き方改革による、店長の労働時間の減少 6)人口減少によるマーケット縮小 などコロナとは関係なく、外食産業は元々厳しい経営環境にありました。
 
 

■コロナが飲食店経営のDX化の優先順位を引き上げた

上述した内容に加え、コロナが加わった事で外出の自粛や給与の減少によって「今後は7割経済」と言われる程に売上の長期的な減少が予想されています。
つまり、「今までの70%の売上で利益が出るようにしなければならない」事を意味しておりますので、生産性の向上はこのコロナの影響によって経営課題の優先事項となりました。
 
大手外食チェーンの動向を見ると、今迄のビジネスモデルであった「駅前繁華街立地の空中階宴会型大箱居酒屋」を100店舗近く撤退し、住宅街や商店街に小箱のテイクアウト専門店や郊外ロードサイドに大箱ファミリー向け食事業態を出店と、立地のリロケーションが進んでいます。
 
中堅・中小企業も新規事業・新業態のリロケーションを進める一方で、既存店の生産性を上げる必要もある為、DX化を進めなければなりません。
 
 

■飲食店がDX化を進めるにあたってやるべき事

・導入すべきITツールの優先順位の付け方
DX化を進めるに当たりITツールの導入が必要となりますが、導入すべきITツールの優先順位の付け方をお話致します。
 
まずはマーケティングとマネジメントの2つのDXジャーニーマップの作成を行ったうえで
1) 費用対効果に見合わないもの 2) 現在、手作業で行っている事 3)労力対効果に見合わないもの 4)アナログとして残しておくもの
の順番で優先順位を付けていき、「どの工程をデジタル化するのか」を決定します。
 
また30億円を超える企業は本部機能が必要となる為、上述した以外に
1)バックヤードの効率化 (調達や物流)
2)バックオフィスの効率化 (経理や人事などの本部業務)
の為のマネジメント版DXジャーニーマップの作成をオススメします。
 
・導入すべきツールの選び方
「どの工程をデジタル化するのか」が決まれば、次に「どの工程にどのITツールを選択するか」を決定していきます。しかしながら、このツールの選択が難しいのです。
 
なぜなら食のマーケットは大きい為、雨後の筍の如く新しいデジタルツールが市場にどんどん出回ります。それによって、「1年前に導入したツールよりも、今はこのITツールがオススメですよ」といった事が頻繁に発生します。
 
そこで考えるべきは「ITツール同士が繋がるかどうか」です。
 
各ITベンダーはサービスを広く発展させる為に自社以外のITツール連携を模索します。しかしながら、社内にSE(システムエンジニア)が少ないと連携(API連携という)に労力とコストがかかる為、中々進みません。
 
上記の背景により、「こちらのITツールはAPI連携が可能ですか?」と質問をすると「我々のITツールはAPI連携が可能です」という返答をよく受けるのですが、API連携が可能なのと実際に連携しているのでは全く意味合いが異なります。
 
ですので、「こちらのITツールはどのITツールとAPI連携していますか?」という質問を投げかけてみて自社が使用している、もしくは使用したいツールと連携出来るかどうかを確認して下さい。
 
 
・導入したITツールを連動させる方法
上述したAPI連携が進んでいないと様々な問題が発生します。最も多い問題が「同じ作業を異なるツールでやらなければならない事」です。
 
例えば、ポータルサイトからネット予約が入った場合に
1) ポータルサイトのネット予約内容を確認し、予約台帳へと転記
2) 予約台帳へと転記した後に、ポータルサイトの席在庫の確認
3) 電話予約などで残席数が減った際のポータルサイトの席在庫の調整
4) 当日ウォークイン来店で残席数が減った際のポータルサイトの席在庫の調整
 
を店舗スタッフが都度確認して手作業でやらなければなりません。
 
しかしながら、レジと予約台帳とポータルサイトがAPI連携をしていると自動で上記の内容が全て反映されるため、予約のブッキングや席在庫を減らした事による機会ロスを減らし、店舗スタッフの確認作業の工数を減らす事が可能になります。
 
上記は一例ですが、多くの飲食店で同様の問題が発生しているか、そもそも予約管理を手作業で行っている店舗が多く存在します。
 
その他では、本部が管理するASPシステムに売上予算を打ち込み、シフト表にも同様の売上予算を打ち込み、日報にも売上予算を打ち込むなど同じ工数を3度以上繰り返している事も多々発生しております。
 
しかしながら、API連携は出来ないが【絶対に必要なツール】がある場合はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する事をオススメします。
RPAとは簡単に説明すると、パソコンの中にロボットをインストールして、人間がパソコンを使って手作業で行っている単純作業をロボットに代行させる事です。
 
つまり、上記のような売上予算を3度も打ち込む事なく、ロボットにその作業を代行させる事が可能になります。
 
・ITツールの予算と費用対効果について
DX化は「P/LやB/Sに影響するもの」と前述しましたが、その為には全てのツールの予算と費用対抗について検証する必要があります。
 
目安としたいのは、ITツールのシステム費を年商の1%~2%以内に収める事です。
ですので、企業規模によって優先順位をキッチリと付けなければシステム費が年商に対して力不相応になりますので注意が必要です。
 
また、それぞれのツールの
1) 初期費用
2) ランニングコスト
3) 出したい成果 ⇒ 売上(粗利)の向上、FL削減
を確認した上で、
【何年(何か月)で回収できるか】を算出します。
 
・ツールを現場へ落とし込む方法
上記のステップで何をどういう目的で導入するかが決まったとしても、現場スタッフが活用しなければ全て宝の持ち腐れとなります。
 
ツールを現場に落とし込めない大きな要因が
経営陣が現場かその上の統括マネージャーに丸投げしている事です。
 
多くの企業の経営陣が現場叩き上げでやってきた、もしくは二代目として同一業種の別企業に修行から帰ってきている事が多い為、「デジタル?よくわからないから若いやつにやらせよう」となります。
 
その為、経営視点(P/LとB/Sに影響する)が弱い担当者がDX化を進めた結果、導入する事が目的となり現場が活用しない、経営陣への説明が上手くいかずにちゃぶ台返しになるといった事が往々にして起こります。
 
DX推進は、経営陣が主となり実行を営業の幹部もしくは幹部候補と役割分担をする事で現場の落とし込みがスムーズに進みます。
 
また、10店舗以上の規模になると既に導入しているツールがある事が多いため
その際は、テスト店舗を決めて実行します。
 
テスト店舗の決め方としては、
1) ITツールに対してアレルギーがある店長とない店長の2店舗
2) エース級の店長が運営する店
3) 管理能力の高いスーパーバイザーが関与できる店舗
4) ITツールを導入する事で、今抱えている問題が解決しそうな店舗
5) 本店のような、本部と物理的に距離が近くマネジメントが効きやすい店舗
を基準に選択していきます。
 
以上がITツール導入のステップです。

■デジタル集客を実現する為にやるべき事とは

まず飲食店の売上を因数分解すると、
売上=商圏人口×認知率×来店率×来店頻度×注文個数×注文単価 となります。
 
上記の中で、デジタルを通じて向上出来る項目は1)認知率 2)来店率 3)来店頻度 の3つです。
 
それでは、上記3つの施策について述べさせて頂きます。
 
・認知率の向上
「商圏内でお店の存在も知らない人」に対して認知させる事が出来なければ、いくら美味しい商品や良い店舗体験を構築出来たとしても売上が上がる事はありません。
 
店舗数の多い大手企業はCMを打つ事でこの認知率の向上を図っていますが、中堅・中小企業は高額なCMに投資するのが難しいのが現状です。
 
ですので、ここでは中堅・中小規模の飲食店が行うべきデジタルを活用した認知率の向上法についてお話致します。
 
①プレスリリース
プレスリリースを打つ事で地元メディアに対してアプローチをし、認知率を上げます。プレスリリースを打つ際はニュースリリースの配信サービスや地元の市役所の記者クラブに原稿を投函します。
 
良質な企画の記事はニュース番組や新聞にも取り上げられる為、大きく認知率を向上させる事が出来ます。
一度打って取り上げられなかったとしても、「当たるまで打ち続ける事」と「新商品やイベントの度に打つ事」が重要です。
 
②グルメブロガーの活用
「エリア グルメブログ」で検索すると、いくつかのグルメブログが検索表示されます。そのグルメブログにダイレクトメールを打って来店依頼をするのも一手です。
グルメブログはエリアを限定している事が多いため、読者もそのエリアに居住していたり、仕事でよく訪れる為商圏内人口の認知率を高める事が出来ます。
 
ちなみにSNSのインフルエンサーやYouTuberの場合は首都圏など大商圏を拠点としている事が多く、またフォロワーが日本全国に広がるため「商圏内人口の認知率」という視点でみると、人口の多い都内や観光地以外はオススメしません。
 
③Googleマイビジネス(以下、GMB)
無料ツールであるGMBの活用は有店舗ビジネスであれば必須です。GMBの活用術についてはダウンロード資料にまとめております。
 
④食べログやホットペッパー、ぐるなびといったポータルサイト
ポータルサイトはSEOが非常に強いため「エリア 居酒屋」などと検索すると、ほぼどのエリアであっても上位にポータルサイトのオススメランキングが出てきます。
またポータルサイト経由で予約するとポイントが付く事もあり、若年層の利用率が高く、さらにフォーマットが決められているため導入スピードも速く、すぐに売上に結びつきます。
 
しかしながら、「広告の課金額」によって上位表示されるかどうかが大きく影響するため資金力のある大手が優位な状況です。
またネット予約課金が発生する為、大手居酒屋チェーンでも年間で億単位の課金をしている事で収益性が悪化しています。
 
認知率を上げる為には必要な媒体ですので、0にする事は出来ません。
オススメなのは「エリア 業態」で検索した時に最も上位表示された媒体にのみ課金する事です。
 
⑤Google広告
リスティング広告やSNS広告はエリア指定やターゲット指定が出来る為、商圏内の認知度を高める事が可能です。リスティング広告の場合、ポータルサイトよりも上位表示される為です。
また、多くの企業がポータルサイトを自社ホームページの代わりに使用している事もあり、首都圏のエリアであってもリスティング広告をかけている企業は多くありません。
 
リスティング広告は高頻度低単価の業種である飲食店には普段向きませんが、繁忙期のみ行う事をオススメします。実際に、ある地方都市の店舗では忘年会のシーズンに宴会専用のランディングページ(以下、LP)を作りリスティング広告をしたところ昨年対比で130%まで売上が伸びました。
 
忘年会やハレの日需要(法事慶事など)といった、大人数で高単価の商品が売れる需要期にはGoogle広告で認知率を上げる事も一手です。
 
コロナの影響で大人数利用の需要が喪失したように感じますが、地方都市に目を向けると4月に行われなかった歓迎会が6月や7月に行われているため、需要喪失よりも延期されている側面があると考えた方が需要期に売上を獲得しやすいでしょう。
 
⑥SNSの活用
多くの企業がSNSを活用していますが、実際に集客をしているアカウントを持つ企業は極めて少数です。
 
SNSでまず重要な事は「アクティブユーザーのフォロワーを増やす事」に限ります。
アクティブユーザーのフォロワーとは、商圏内にいるフォロワーの事です。
 
アクティブユーザーのフォロワーを増やす、最も手っ取り早くてコストのかからない方法は
1) 自店舗と利用動機や客層が同じ商圏内の競合店を複数ピックアップ
2) その競合店の事をフォローしているフォロワーを一人ずつ確認し、
その投稿からアクティブユーザーかどうかを判別してフォローする。
3) 7500人までフォロー可の為、それを繰り返す
4) 7500人に到達した場合、フォローバックのない人のフォローを外す
5) 上記を繰り返す
 
事でアクティブユーザーのフォロワーが増えていきます。
実際に、ある地方都市の店舗では上記のやり方によって、わずか1ヶ月で1000人以上のアクティブユーザーを獲得する事が出来ました。
 
大手チェーン以外の飲食店は、基本的には商圏内人口に対するローカルビジネスの為、商圏内人口の認知率を高める事を実行していきます。
 
・来店率の向上
認知率を高めた次は来店率の向上です。来店率の向上は「店舗の存在を知っているが来店経験がない」新規客を獲得する事を意味します。
来店率を高めるポイントは1)自社ホームページを持っている 2)多くの口コミや自店舗に対してのSNSの投稿がある の2点です。
 
1)自社ホームページを持っている
例えば、旅行先のホテルを探す時は楽天トラベルなどのポータルサイトで数多くのホテルからいくつか候補を選んだ後に、そのホテルのホームページを確認して詳細な情報を調べる行動を顧客は取ります。
 
頻度と単価が異なるため飲食店ではあまり取られない行動のように感じますが、大手企業では新規客は来店までに3回ホームページを訪れるといったデータが取れています。
 
需給バランスが崩れている程、飲食店が多く存在しますので顧客は「外食で失敗したくない」という潜在意識をもっています。ですので、自社ホームページの用途は「外食で失敗しない為の来店前確認」として活用していきます。
 
では、自社ホームページで何を訴求するのかというと
①ペルソナ別の利用シーン(誰がどんな用途で利用して単価はいくらか)
②ベストレート⇒ホームページでしか使用できないクーポンがある
③お客様の声がある
の3つです。
 
①②は言葉の通りですが、③のホームページに載せるお客様の声はInstagramで自社に対して投稿された内容にする事で第三者評価による信用度が高くなる為オススメします。
 
2) 多くの口コミや自店舗に対してのSNSの投稿がある
最後に来店前にGMBやSNSでの口コミを確認して、その評価が高ければ来店率が高まります。特にSNS(主にInstagram)は#店名 など自店舗にまつわる固有名詞をハッシュタグとして使ってもらう事が重要です。
 
・来店頻度の向上
次に実際に来店して頂いたお客様にもう一度来店してもらう為の取組みが必要です。
言い換えれば、離脱率(1年以上来店していない割合)を減らす事です。
 
「QSCのレベルの高い、質の良い営業をすれば来店頻度は向上する」と外食産業は久しく言われていますが、「最早、QSCのレベルが高いのは当たり前」となっている為、QSCのレベルが低く、悪い口コミが記入されると瞬く間に売上が減少していきます。
 
ある大手チェーンでは「過去来店したお客様で1年以上来店経験のない人が総客数の40%を占める」といったデータがあるほど、来店頻度を向上させる事は難易度が高いです。
 
また、2回目来店される確率は20%・3回目来店される確率は10%と言われており、固定客化(常連化)は飲食店経営における永遠のテーマともいえます。
 
しかしながら、再来店をしない理由のトップは「忘れているから・行く理由がないから」と言われています。
ですので、顧客に店舗の事を思い出させる取組みが必要になります。
 
最近では、固定客化のITツールとして自社アプリや共通アプリ、LINE@を利用する飲食店が多くなってきました。
 
ある大手チェーンでは「来客数の20%をアプリ会員化」というKPIを設定しているなど、まずは会員数を増やす施策が重要となります。
 
次に会員に来店を促すのですが、こちらは「企画力」と「ライティング力」が重要です。
一方的なメッセージですとブロックやアプリを削除されるなどする為、特にメッセージの表題は意識して「顧客の為になるメッセージを一言でわかりやすく」発信するビジネススキルが求められます。
 
 

■まとめ

これまで、飲食店がDX化を進めるべき理由と進め方について記載をしてきました。
元々厳しい経営環境の中、コロナによって外食産業が未曾有の危機に瀕していると感じています。DXを通じてマネジメント・マーケティングの仕組み化と運営を行い、人時売上高向上という7割経済でも成立する生産性を実現して頂ければと思います。
 
この記事が皆様の経営の手助けになれば幸いでございます。
 
より詳しい解説をご希望の方は、無料の経営相談を1度のみ行っておりますので自社のDX化を進めたい方は下記ホームページからご相談下さいませ。
https://funai-food-business.com/

執筆者
小島 佑太
プロフィール

【居酒屋・バル経営】売上アップ事例
外食
2020/8/11
【居酒屋・バル経営】売上アップ事例

【コロナ禍で昨対140%を達成した居酒屋の事例】

 

緊急事態宣言や東京アラートが解除されても、お客様は新型コロナウイルスの第二波、第三波の感染拡大を恐れ、飲食業界全体ではまだまだ売上が回復していません。

特に居酒屋は大手企業の相次ぐ撤退発表などもありましたが、今最も厳しい業界と言えます。

 

しかし、このような厳しい状況の中でも、6月の売り上げが昨対比140%を達成している店舗があります。成功の理由は、「バルから居酒屋への業態変更」。2020年2月中旬に業態を変更し、コロナの影響を受けながらも3月には18坪で520万円の売り上げを達成。36席ほどの小店舗ながら、平日で2回転、週末で2.5回転以上と、周辺店舗と比較しても圧倒的に集客を続けています。

 

18坪36席程の小さなお店ですが、平日で2回転週末で2.5回転以上の集客をしており周辺店舗と比較すると圧倒的に集客をしていると言えます。

 

今回はコロナ禍中に業態変更をし、昨年対比を超え続け、売上を伸ばしている居酒屋が取り組んだことを解説致します。

 
■バルから居酒屋へと業態変更をしたきっかけ

こちらの会社様は広島市内でバルを2店舗運営しておりましたが、1店舗は業績が良かったもののもう1店舗の経営に苦しんでおり業態変更を検討しておりました。業態変更をしたバルは立地も物件に躯体もお世辞にも良いとは言えず、自社競合の末に集客に苦戦をしておりました。

■業態変更をする時に考えたポイント

広島市は100万人を超える政令指定都市という事もあり、飲食店の時流も早く流行り廃りが激しく、業界紙に取り上げられるような首都圏の店舗をモデルにしたような業態が多数存在しております。その中でも大衆酒場業態が集客をしており、大衆酒場業態に業態変更をする事としました。

そこで業態を決める上でのステップが以下になります。
 
①現状の課題を特定
-立地の良い自社のバルと競合を起こしている。

②周辺環境の調査と業態変更の決定
-集客力のある業態は、客単価2500円程度の大衆酒場であることが判明。
-居酒屋業態への変更を決定。

 

③周辺店舗との差別化
-店舗面積や品数で競合に勝つことは不可能だったため、「専門店化」するべきだと判断。
-経営母体が肉卸&焼肉屋を30店舗経営していることから、「肉」に専門化することを決定。
※ウリが明確になると、品数を絞っても顧客満足度を得られます。

 

④立地と物件躯体の弱点をカバーする施策
-大通りから離れ、半地下であるという弱点を補うため、平日週末繁閑差をなくす施策を思案。
-客層を老若男女問わない総合化することを決定。

 
以上がなぜ大衆酒場に業態変更をしたのかの解説でした。

 

■コロナ禍での居酒屋経営で高い集客を成功させた7つのポイント

 

・居酒屋経営成功のポイント①店頭戦略

上述したように、立地と物件躯体が悪かった為、自店舗前通行量に対しての訴求を下記の視点で補いました。
 
1)店頭の照度を上げて、遠くからでも明るく目立つようにした大通りから路地を一本入り、そこから50m以上進まないと店舗が見えないという立地であった為、遠くから「店舗の存在」を認識できるように照度を明るくしました。後述しますが、大きな暖簾にし、そこに照明を当てる事で見た目の照度がより明るくなり、店舗の存在感が出るようになりました
 
2)大きなのれんをぶら下げて、間口を大きく見せて、半地下という欠点を補った入口が半地下になっており、狭い事によって店舗全体が小さく見えてしまう欠点がありました。そこで、大きな暖簾を付ける事で間口を大きく見せて店舗全体を大きく表現する事で、半地下という欠点を補いました。
 
3)安さ感を演出するため黄色の懸垂幕に飲み放題のディスカウントを訴求店頭で顧客が予算感をつかめるように、黄色の懸垂幕に大きく飲み放題のディスカウントを訴求しました。黄色は食欲喚起の色であり、また大手居酒屋チェーンも黄色の看板を使うなど安さ感が出るた為、黄色の懸垂幕を使用して店頭での安さ感を訴求しました。
 
4)店頭からも店内の様子が見えるようにし、入店時の安心感を作り出した世の中に多く飲食店がある事で「外食で失敗したくない」という顧客の心理を取り除く為に、店内が見える=他のお客様が入店している様子を見せられるように店頭から店内を見えるようにしました。

 

・居酒屋経営成功のポイント②店内戦略

オシャレなバルから大衆酒場の雰囲気に寄せる為に行った店内戦略です。
 
1)入口付近の照度をUP店頭照度をより明るく見せるため、また店内を店頭から見えやすくする為に入口付近の照度を意図的に上げました。
 
2)席数を増やしたリニューアルに伴い、家主様から半地下にするようにとの指示があった事で2坪ほど面積を減らさざるおえませんでしたが、店内の段差をなくした事で席数を増やす事ができ、18坪36席。最大41席まで増やす事が出来ました。坪当たり席数が増えた事で満席時の売上が上がり、日販が上がる為客単価を意図的に抑える事が出来ました
 
3)主力商品の牛串を焼く“実演訴求”を強めた煮込みの鍋や牛串を焼く焼き台をカウンターから見せる事で、実演性を出しました。厨房の実際の調理が席から見える実演性を付加する事で商品の付加価値が高まりました。
 
4)赤札で商品名を書き大衆感を演出より大衆感を強める為に赤枠POPの赤札を店内で表記しました。
注文を促したい、ウリ商品や高粗利商品を多く記載する事で注文のコントロールも可能です。
 
5)万人受けするアニソンをBGMとして使用客層の総合化を図る為に万人受けするアニソンや懐メロを中心とした選曲にしました。
音・光・温度など、店内の雰囲気がコンセプトと合致するようになりました。

 

・居酒屋・バル経営成功のポイント③商品戦略

商品戦略はハイコスパ戦略を取っており、価値/価格を高める事で再来店を促す事を前提にした戦略としております。まずは商品戦略についてお話致します。
 
1)低温調理をした赤身肉を肉刺しとして提供法律により生肉が食べられなくなった今、低温調理で赤身を見せて生肉に近い食感や味にする事で「家では食べられないご馳走商品」となりました。また仕入の安定化や原価高騰の為、大手チェーン居酒屋がやりたがらない国産牛(交雑牛)を使用する事で美味しさを追求しました。また、良い食材を使う事で調理技術がなくとも美味しい商品となる為、アルバイトでも重要な商品を提供するポジションで従事する事が可能です。
 
2)串や肉寿司といった、単品個食(一人一つ注文する商品)商品を提供来店頻度の高い一人客に対して、単品個食商品を導入する事で一人でも入りやすくしております。また一人用の商品の為、見た目価格を抑える事が出来る事で安さ感を出す事が出来ました。
 
3)焼売など専門店として成立しているが、原価の低い商品を充実準主力として中華系の商品を商品ラインナップに組み込んでおります。中華は餃子や焼売、麻婆豆腐など専門店として成立する程マーケットサイズ(MS)が大きいアイテムですが、原価率が低い為粗利ミックスをする事で満足度を落とす事なく満足度を上げています。
 
4)生産性の高いドリンク(レモンサワー)をセルフ化&ディスカウント多くの居酒屋は生産性の高いドリンクで粗利を稼ぎますが、逆に生産性の高いドリンクをセルフ化する事で安さ感を演出しております。また、セルフ化をお客様にご納得いただく為にディスカウントをする事でレモンサワー飲み放題は総客数の80%以上が注文されています。

 

・居酒屋経営成功のポイント④価格戦略

商品戦略はハイコスパ戦略を取っており、価値/価格を高める事で再来店を促す事を前提にした戦略としております。次に価格戦略についてお話致します。
 
1)串物の下限価格を99円、名物の牛串を199円として安さ感を演出下限価格を安くし、品数を多く見せる事で安さ感を演出する事が出来ました。
 
2)酒場の定番メニューを299円と399円のツープライスに設定中心価格を299円とする事で客単価を2300円程としております。客単価は中心価格×6×1.3(繁華街の場合)=客単価となる為、2300円が客単価となるように設定し、その通りに客単価が推移しております。
 
3)レモンサワー飲み放題をセルフとして30分300円に設定レモンサワー飲み放題をセルフ化した代わりに30分300円で飲み放題とした事で総客数の84%がレモンサワー飲み放題を選択されています。

 

・居酒屋・バル経営成功のポイント⑤人手不足対策

今はコロナにより、人手不足になる事はあまりありませんが、居酒屋は元々採用が難しい業態の為一人当たりの生産性を高める事を考えました。
 
1)平日と週末の繁閑差が少ないため、人員を多く抱えなくてもよい宴会型居酒屋の場合、週末に大きく売上を作る代わりに平日の集客に苦戦する事が多く、平日と週末でのアルバイトの人員数が大きく事なる為、店舗当たりの総人員数を増やす必要があります。ですが、こちらの大衆酒場では平日と週末で大きく売上が変わらない為、毎日一定数のアルバイトで運営できるのでアルバイトを面接し育てるという工数が減りました。
 
2)レモンサワー飲み放題の訴求をWebや店頭店内メニューブックで行う事で、注文率を80%以上を実
現。セルフ飲み放題が注文率の80%を超えている為、ドリンクを作る工数が大幅に減少しました。尚且つ、グラスを交換する必要もありませんので洗い物の総数も減る事で〆作業の工数が削減されました。
 
3)商品アイテム数を絞っている為、アルバイトが「レシピやハンディを覚える」工数が減り、育成スピードが速い⇒専門店化しているため、お客様の注文が主力メニューに集中専門店化している為お客様の注文が主力メニューの集中する事で同じ商品を何度も作る事で熟練度のスピードが上がります。また専門店化によってウリが明確の為、品数を絞る事が出来ております。品数を絞る事で商品レシピやハンディを覚えるという工程が減るため、育成スピードが上がります。店舗に未熟練者の割合が減る事で一人当たりの生産性が上がりました。
 
4)串系と低温調理の商品以外はほとんど「盛るだけ」か「揚げるだけ」の為、オペレーションが簡単ウリ商品である低温調理商品や、実演性を利かせている串系の商品以外は「盛るだけ」や「揚げるだけ」の為、アルバイト中心の店でも提供スピードを速くする事が出来ました。
 
5)アルミ皿を使用する事で割れ物の少なくなり、洗浄のスピードが上がるお皿も種類を絞り、取り皿をアルミ皿にする事で洗浄スピードや〆作業の効率化が進み、生産性が向上しました。

 

・居酒屋・バル経営成功のポイント⑥集客戦略

こちらのお店は、前述したように広島市の繁華街で路地を1本入った視認性がかなり悪い場所で、半地下にあります。
その為、集客活動をいかに成功させるか!?が業態転換の際のポイントでした。
 
集客を安定化させるために原価率を高く設定しているため、グルメサイトなどの媒体に多くの広告宣伝費をかけることはできません。
そのため、オープン時には「話題性のあるイベント」を行う事にしました。
 
「オープンから1週間はレモンサワー飲み放題30分29円」
「毎月29日(肉の日)はレモンサワー飲み放題30分29円」
とし、話題性を作り出しました。
 
そして、お客様への告知方法として選択したのが「プレスリリース」です。
 
プレスリリースのポイントは、下記の5点です。
 
1)見出しで伝えたい内容が一目でわかる
 
2)内容に「新規性・社会性・独自性」のいずれかがある⇒最も重要!!
 
3)お店の特徴(独自性)を5つ以上記載する
 
4)特徴(独自性)は価値訴求について触れる
 
5)「店名・住所・電話番号・Webサイト」はGoogleマイビジネスと完全一致させる
 
 
実際に、こちらのお店ではこのプレスリリースによって、テレビ取材が2本入りました。また、このプレスリリースをグルメブロガーの方に紹介するのも一手です。
 
グルメブロガーの方は、「エリアグルメブロガー」で検索した時に出てくるブログにダイレクトメールをお送りして実際に店舗に来店してもらえるように促します。
(※SNSのインフルエンサーの場合、フォロワー毎にお金が発生する為注意が必要)
 
また原価率の高い業態の為、
グルメサイトにお金をかけすぎる事ができないため、1媒体のみ有料としました。
 
どのグルメサイトを有料にするかどうかの選び方は「エリア居酒屋」で検索した時に「最も上位にくる媒体」を選ぶことです。
 
さらに、Googleマイビジネスは無料の為、オープン当初から記載内容を充実させました。
 
具体的には、
1)情報(商品・メニュー含め)を全て正しく埋めきる
2)写真の投稿量を多くする
3)無料で登録できる媒体に全て登録してサイテーションを強化⇒店名・住所・電話番号は必ず完全一致
4)投稿・口コミは検索キーワードに反応する為、
キーワードの選定⇒キーワードを想定してGoogleのキーワードプランナーで検索ボリュームを調べる
⇒日々の投稿では選んだキーワードが入った文言を必ず入れる
5)WebサイトはGMBに付随する無料のものを使用
⇒WebサイトとGMBの関連性が上位表記に関連する為、取り急ぎ使用
(さらに強化する場合は、自社ホームページを作り、SEO対策をした方が効果的です)
を実施しました。
 
そして、オフラインの販促としては
「レモンサワー飲み放題30分29円」の表記が入ったティッシュをアイドルタイムに配布。
花粉症の季節という事もあり手配りチラシよりも受け取ってもらいやすく、集客効果も非常に高かったです。
 
上記の販促をリニューアルオープンのタイミングに合わせて実施した事で、一気に新規客を集客する事ができ、ハイコスパの顧客体験をさせる事でリピーター化してもらう営業対策を講じたことが、コロナ禍中にも関わらず業績アップに成功した要因です。
 

■コロナ禍であっても集客をしている大衆酒場の条件

上記のように、私たちのご支援先では、コロナ禍中にあっても業績を伸ばしている居酒屋があります。
 
◆大阪市内の住宅エリア空中階の3等立地で、6月に過去最高月商を出した大衆酒場
◆インバウンド消費が消えた観光地の繁華街で、28席で平日日販15万円を超える大衆酒場
 
これらの店舗に共通するのは、以下の8点です。
 
①宴会に頼らない営業形態
②客層の幅が広く、曜日の繁閑差が少ない
③滞在時間が短く“サク飲み”の利用動機に向いている
④専門店の為、品数が少なくても集客できる
⑤口コミを誘発する仕組み
⑥客単価2500円前後でハイコスパ
⑦「入りやすい」店頭
⑧リピーターが多く、再来店の為の仕組み作りが出来ている
 
以上がコロナ禍であっても集客をしている大衆酒場の共通点です。如何でしたでしょうか?
 
居酒屋を経営をすでにされており、コロナの影響を受けている経営者様はぜひ本事例を参考にして頂ければと思います。
 
より詳しい解説が必要な方は下記よりご相談下さいませ。
詳しい解説はこちらから

執筆者
小島 佑太
プロフィール

飲食店・居酒屋の開業成功事例紹介!飲食店の開業を成功に導くポイントとは
外食
2019/6/14
飲食店・居酒屋の開業成功事例紹介!飲食店の開業を成功に導くポイントとは

【飲食店・居酒屋の開業成功事例紹介!飲食店の開業を成功に導く7つのポイントとは】
 

飲食業界は異業種からの新規参入や個人経営者による新規開業も非常に活発である。一方で開業後まもなく閉店や廃業にいたるケースも多い。

新規開業の場合、事業スタートのきっかけは「経営者がこんなお店をやってみたい」という想いで始まるのが一般的です。「海外や東京で出会った素敵なお店」を地元で自分自身が経営してみたいという事は多いのですが、「やりたいこと」と「地元での成功確率」が一致しない場合、せっかく始めたお店が軌道に乗らず、閉店や廃業につながることも起こりえます。さらに新規開業の場合、ビジネスモデルの選択が正しかったとしても、飲食業界ならではの「運営ノウハウ」や「マネジメントノウハウ」を習得していない状態での事業スタートとなるため、運営やマネジメントをやりきることが出来なくて、失敗にいたることもあります。

今回は初めて居酒屋・バル経営を始めるにあたり、どのような点に気をつけて開業すれば良いのかについて、地方都市での新規開業成功事例を交えて解説します。

 

 

<目次>

■居酒屋・バルの新規開業に必要な資金調達について

■居酒屋・バルの出店立地・物件情報の取得と選定

■物件の良し悪しを図る7つのポイント

■飲食業界に新規参入ながら繁盛店開発に成功した事例

■はじめての居酒屋・バル経営で高い集客を成功させた8つのポイント

居酒屋・バル経営 成功のポイント ①価格戦略

居酒屋・バル経営 成功のポイント ②メニュー戦略

居酒屋・バル経営 成功のポイント ③一番商品の開発

居酒屋・バル経営 成功のポイント ④集客に困らない店頭・店内空間の作り方

居酒屋・バル経営 成功のポイント ⑤集客対策

居酒屋・バル経営 成功のポイント ⑥収益性を高める方法

居酒屋・バル経営 成功のポイント ⑦人手不足対策

居酒屋・バル経営 成功のポイント ⑧接客の品質

■なぜ多くの店が閉店するのか、失敗の原因

居酒屋・バル経営の失敗理由 ①そもそもコンセプトの設計が間違っている

居酒屋・バル経営の失敗理由 ②飲食店の原理原則・時流を理解していない

居酒屋・バル経営の失敗理由 ③飲食店特有の店舗運営、マネジメントが上手くいかない

 

 

居酒屋・バルの新規開業のためには、資金が必要となります。自己資金(貯金など)に加え、親族や知人からの借入、親会社からの資金援助、金融機関からの借入等を行い、開業に必要な資金を集めます。個人で開業される場合、「住宅ローン」や「車のローン」など、個人の借入金があると、これらも金融機関からの審査の範囲となります。会社として新規事業立上の一環として借入を起こす場合は、既存事業の財務の状態も審査対象になります。

一般的に金融機関に借入を申請する際には、創業計画書や開業計画書などが必要となります。これらの計画書が絵にかいた餅にならないように、事業計画の策定にあたっては入念に業界動向を調べたり、開業後の損益シミュレーションを複数パターン算段することが大切です。計画書作成にあたっては「論理的な正しさ」よりも具体的な「成功事例」や「モデル事例」を沢山盛り込み、事業計画の具体性と成功イメージ高めることが重要です。

特に、初めて飲食業に参入し、居酒屋・バルを新規開業する場合は、「損益分岐点売上高が低い」ことと「投資回収スピードが早い」計画を組むことで「経営の安全性」を高めることができます。特に資本力の無い場合は、遅くとも投資回収3年以内の事業計画を組まれることが良いと思います。

 

 

開業資金調達の目途が立った後、次に重要なステップは立地の選定です。立地は事業をスタートした後、簡単には変更する事ができないため、慎重に選ぶ事が大切です。しかしながら、優良立地、優良物件の情報が零細企業、個人事業主に流れてくる事はほぼないため、自ら出店立地を積極的に探すことが大切になります。出店したいエリアを自分自身の足で見て回り、空き物件を探すことも必要ですし、同エリアの不動産屋にも足繁く顔を出し、事業計画も提示して、「どのような立地を求めているのか?」「どのような物件を求めているのか?」を正しく知ってもらうことは非常に大切です。また、不動産屋だけでなくビール会社など飲食店に様々な商品やサービスを納入しているところにも物件情報は舞い込むため、「どのような物件を求めているのか?」を説明しておくことが大切です。

候補になりそうな物件が出た後は、「立地・物件診断」を行いましょう。立地・物件診断においては「どんな人が多い立地なのか?」「商圏人口はどれくらいいるのか?」「駅の乗降客数はどれくらいあるのか?」「ピークとなる時間、アイドルタイムの通行量はどれくらいあるのか?」「平日、週末の人通りの量と質はどうなのか?」「どんな目的の人が店前を通っているのか?」を必ず「実地」「目視」で確認するようにします。

一般的には、住宅立地要素が強い商圏だと平日の集客は苦戦します。一方、ビジネス立地要素が強い商圏だと週末の集客は苦戦します。このような立地特性をキチンと調査し、正しく把握したうえで、売上予測を立てることが大切です。

さらに、出店候補エリアの徒歩10分圏内(郊外であれば車で10分)に繁盛店や大手居酒屋チェーンがあるかどうかを確認し、これらの店舗の集客状況も確認しましょう。特に、出店候補エリア内の繁盛店を見る場合は、「客層」や「利用動機」を確認し、「どのような商品をいくらで提供しているのか?」を確認しましょう。

 

 

上記の立地調査を行った結果、「立地は良い」となった場合、次は「物件の良し悪し」の判断になります。物件の良し悪しの判断にあたっては以下の7つの視点を参考にしてください。

 

①間口の大きさ

⇒店舗を大きく見せ、通行客の目を引く存在感を作ることができそうか?

②店頭から店内が見えるか?

⇒地下店舗、2F以上の物件は集客の難易度が高まります

⇒特に新規開業の場合は慎重を期し、1F店舗を選択しましょう

⇒店内が見える「安心感」は集客力に繋がります

③看板は10m先からしっかり目立つサイズで設置可能か?

④坪当たり席数は少なくとも1.5席以上は配置出来るか

⇒限られた営業時間の中でより高い売上を立てるためには席数の確保が大切です

⑤家賃は1坪あたり1.5万円(月)を超えていないか(1.2万円以下が理想)

⇒賃料の妥当ラインは立地によって当然異なります

⇒地方都市で新規開業される場合、賃料は上記を一つの目安として、損益分岐点が高くならないようにすることで「経営の安全性」が高まる

⑥居抜物件の場合、厨房面積が総坪数の20%を取れているか

⇒初期投資金額を押さえることが可能になります

⑦居抜物件の場合、オープンキッチンになっているか

⇒初期投資金額を押さえることが可能になります

 

上記を7つの視点で順番にチェックし、さらに自分たちがやろうとしている居酒屋・バルのコンセプトに合致しているかどうかを確認しましょう。

 

 

この春ご支援させていただいた地方都市の繁華街立地で新規開業した居酒屋・バルの成功事例をご紹介致します。

まず出店希望エリアをお聞きし、立地調査を実施しました。立地はいわゆる二等立地ですが、近隣に大手チェーンが多数出店しており、また地元資本の繁盛店も存在する場所で、「居酒屋・バルの市場がしっかりある立地」と判断しました。このような立地においては「差別化戦略」が重要になりますが、しっかりと「時流適応」と「繁盛の原理原則」を押さえたコンセプトを選択しました。その結果、オープンから連日2回転する集客を実現しております。現在は毎週日曜日を定休日としており、月間26日・夜だけの営業で、25坪60席の小規模な店舗ながら、月商650万円ペースで推移しております。地方都市の場合、1坪あたりの売上が20万円(月)を超えると繁盛店と言われますが、初めての新規開業でこの水準をクリアすることができました。

以下に、どのような視点でコンセプトを組み立てたのかについて解説させていただきます。

 

 

人口の少ない地方都市においては対象となる客層を広げる事で”日常的に利用しやすいお店“にする事で売上がアップします。具体的には”客単価が3000円を超えない価格設定“にする事で”日常的に利用しやすいお店“になります。 “客層”と“利用動機”を広げると同時に、“来店頻度”を上げる事が集客最大化のためのポイントとなります。こちらのお店では、客単価を2500円に設定して“月に2回以上”来店をしてもらいやすい価格戦略を取りました。

 

単なる居酒屋・バルではなく、「何がウリの店なのか?」をハッキリとさせるメニューにしました。こちらのお店では炭火で焼き上げるステーキとレモンサワー飲み放題60分500円を名物し、しっかり店頭、店内、Webでアピールしております。また、各卓上にレモンサワーのサーバーを設置する事で「待ち時間0秒」で飲み放題を楽しめるシステムを取っています。このために総客数の90%が飲み放題を選択し、文字通り名物として認知されています。

 

 

一番商品の炭火焼きステーキは品質とボリューム、価格にこだわりました。こちらのお店では、国産牛を原価率85%をかけて、1280円で提供しております(限定10食)。ご馳走商品をコストパフォーマンスの高く販売することで他の居酒屋・バルとの差別化を講じております。「良い素材」を使う事で調理における“味のブレ”を軽減することにもつながるためお客様の評価を高めることにも貢献します。

 

 

店頭・店内も“日常的に利用しやすいお店”に印象付けるように工夫しました。店舗が大きく見えるに間口いっぱいに看板や造作を施す事で店頭通行客の目を引く確率が高まります。さらに照度が明るい店頭、店内の賑わいが外からも見えるように工夫をし、店頭には主力商品の価格も明示する事で「安心感」が増し、入店率が高まります。

一般的にお客様は、居酒屋・バルを選択する際には、「失敗したくない」という心理が働きます。その「失敗したくない」心理を取り除くには「何屋で」「何が」「いくらで」食べられるか?をハッキリ伝えることは集客力に繋がります。さらに外から店内が見える事で「自分たち以外にも楽しんでいるお客様が沢山いる」という認知ができることで「安心感」につながります。

 

 

居酒屋・バル業態の売上を高めるためには「繁忙期対策」が最も重要となります。最も需要が高まる時期に販売促進活動をかける事が集客の費用対効果を高めます。

特に駅前や繁華街立地に存在する居酒屋・バルにおいては、Webでの集客活動が効果的です。グルメサイトやGoogleマイビジネスといった、Web媒体は全てにおいて対策が必要です。

 

 

上記の活動を通して、損益分岐点売上高を大きく超える事で居酒屋・バル業態の収益性は一気に高まります。時給のアルバイトが多く変動費扱いされる飲食店においても売上が高まれば高まるほど人件費は下がっていきます。さらに固定費である家賃比率も下がっていきます。

また、損益分岐点売上高を“下げる”取組みも必要となります。具体的には商材のアイテム数を増やさずに“同じ食材で違う商品を作る”事で在庫回転率を上昇させ、ロス率を低く抑え、原価率をコントロールすることができます。

実際にこちらのお店では、「一番商品のステーキは原価率85%」や「レモンサワー飲み放題60分500円」など高原価商品を戦略的に投入していますが、メニュー全体の理論原価率は35%です。FLRと言われる原価率、人件費率、家賃比率の合計値は62%です。(居酒屋・バル経営において目安となるFLRの合計値は70%以内)つまり、お客様にとって魅力的な原価率の高い戦略商品を導入しながら、高い集客力を実現し、経営トータルとしては高い収益構造を実現しているのです。

 

 

飲食店は、労働集約型と言われており従業員の約8割がアルバイトで運営しており、働く人が日によって変わるため、接客などの品質維持が難しくなります。そして、接客が上手くいかない店の特徴としては、100点の状態を文章で明文化していないということが挙げられます。明文化の方法としてはマニュアルを作成するなどがあるのですが、マニュアルを作成するうえでの注意点としては、「最低品質を記載しているため、内容以上の取組みを行ってい良い」という書き方をすることです。それによって、マニュアル人間が現れる事を防ぎます。

 

そこからさらに接客で他社と差別化を図るためには、顧客接点をどこに作るのかがポイントになります。飲食店で接客を行うのは5、6回程度(2時間で)となります。その5,6回中でしっかりとしたコミュニケーションを如何に、何回取れるかが重要なポイントとなります。

 

取組みとしては、目の前実演系の商品・おすすめ商品の説明(人気の商品、私のおすすめ、お店のおすすめ)ができるようにロールプレイング等の研修を用意します。従業員・アルバイトがこれをできるようになると、ほとんどの確率で注文されるようになるため、接客の品質向上につながります。

 

 

 

正しいコンセプトの決め方としては、商圏内の競合店調査をしたうえで、流行っているお店と流行っていないお店を分類します。そして、流行っているお店がなぜ流行っているのか、客層と利用動機、商品を確認します。そののちに、そこに当てはまるモデル店を探すというプロセスを踏みます。

 

 

原理原則・時流に沿った経営をしなければ、集客が出来ません。店頭、内装、WEB、接客などすべてに原理原則があります。多くの事例を見て、ルール化することから始める必要があります。

 

 

店舗運営が上手くいかないことが原因となり、人が育たない、人が辞めるなどの問題が発生します。その結果料理・接客などの品質にばらつきが出て、固定客化出来なくなります。マネジメントが上手くいかない事がきっかけとなり、コンセプトと異なることを店長が始めたり、料理人が自分の出したい料理を出したりするなどをはじめます。その結果何屋なのか分らなくなります。

 

居酒屋・バル経営をすでにされている方、これから新たに居酒屋・バル事業の新規立ち上げ、新規開業をご検討されている方は、収益性の高い居酒屋・バルのオープンを検討されている方は、ぜひ本事例を参考にして頂ければと思います。

 

より詳しい解説が必要な方は下記よりご相談下さいませ。

https://www.funaisoken.ne.jp/mt/funai-inshoku/inquiry.html

執筆者
小島 佑太
プロフィール

バル業態の経営に必要な差別化のキーワード
外食
2018/10/04
バル業態の経営に必要な差別化のキーワード
いつも飲食店経営に関する当コラムをお読み頂きまして、誠にありがとうございます。
バル業態は今、地方都市であっても競合他社が増えてきており業種業態のみで
勝てる地域は無くなってきています。
2019年には、本格的にバル業態は成熟期に入るのではないでしょうか。
成熟期における差別化のキーワードは「低価格」「高品質」「品揃え」
「コストパフォーマンス(CP)」「実演性」が挙げられます。
これらのキーワードを取り入れながら、繁盛をしている店は沢山もあります
下記に繁盛店が行っている取組みをまとめさせて頂きます。
・【単品商品一番化】による高品質、高CP、実演性による訴求
・【複数の利用動機を持つ】ための低価格、高品質、高CPによる訴求
・均一価格や原価提供によって【価格訴求】と高CPによる訴求
【単品商品一番化】・・大阪、東京を中心に約10店舗展開されている企業様は、
豊後牛ステーキ」を驚きのコストパフォーマンスで提供しています。
牛肉は主に和牛と国産牛、輸入牛がありますが最も参入障壁が高いのは和牛です。
流通の課題や原価率の高さがその要因です。
人口減少社会において調理人の採用が難しい中、「高級食材による商品」で
差別化を図っています。
【複数の利用動機を持つ】・・・これは政令指定都市よりも地方都市において有効です。
何故ならば、人口が多い政令指定都市は3ヶ月に一度の来店頻度でも成立し、
逆に専門店化をしなければ埋もれてしまいます。
逆に人口が少ない地方都市では、客層の幅を拡げる事、利用動機を複数持つ事、
高来店頻度がポイントになります。
四国の地方都市で出店されている当社会員様の店舗は、圧倒的なコストパフォーマンスと
商品力、ハード面を整備する事で上記のポイントを押さえ、繁忙期の月商は2500万円の
大繁盛店です。
【価格訴求】
・・・均一価格や原価提供をするお店が「安さ感」を訴求し、集客に成功しています。
ただし、「安かろう悪かろう」と言った商売では絶対に集客出来ません。
福岡県を中心に九州で展開されているサンパチキッチン様は380円の均一価格ながら、
フォアグラソテーや和牛ステーキを380円の高CPで提供されております。
今月、当社が運営する「ニクバル研究会」ではサンパチキッチンを運営される
株式会社C.F.C.company 代表取締役武本様と独自の人財活用を持ち、
九州や国外で29業態を運営されるアトモスダイニング株式会社 専務取締役の
吉原様に「勝てるバル業態と人財活用論」をご講演して頂きます。
バル業態を運営されておられる経営者様が集まるニクバル研究会にご興味がある方は、
是非下記URLからお申込み下さいませ。
バル業態に関心のある今コラムをご覧になられた皆様のご参考になれば幸いです。
執筆者
小島 佑太
プロフィール