経営コンサルタントのお役立ちコラム | 船井総研 フード支援部

経営コンサルティングの船井総研 フード支援部
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏

外食産業におけるコンサルティング活動に従事。業態開発、新規出店、多店舗展開、既存ブランドのブラッシュアップによる持続的な企業業績向上のプロデュースを得意とする。

飲食店経営において収益性向上を進める方法
外食
人材
2018/8/29
飲食店経営において収益性向上を進める方法

ここ数年、飲食店の経営においてもっとも大きな課題の一つは「収益性の低下」が挙げられると思います。

 

要因としては

①原材料など仕入価格の高騰

②人不足による時給単価の上昇

③人不足による採用コストの上昇

④人不足による売上チャンスロス

⑤ビジネスモデルの成熟化、コモディティ化による利益率の低下

などが挙げられます。

 

そして、今後は「人材定着力」を高めるための労働環境の整備にも経営資源を入れていく必要があります。

 

つまり、飲食店経営において「収益性の向上」は今後ますます重要なキーワードになります。

 

 

では、「収益性向上」はどのように実現していくのが良いのでしょうか?

 

答えは「収益性の高いビジネスに取り組む」ことです。

 

例えば当社会員の中華レストランの老舗繁盛企業は郊外ロードサイドで長年事業を展開してこられました。

 

しかし既存のビジネスモデルは昼夜営業であり、ドリンク比率も低く、客単価も2000円をなかなか超えられない市場環境での展開です。

 

また、「鍋を振る」業態であるため技術を持った料理人を必要とします。

 

100席で忙しい月には月商2000万円近く売るお店ですが、今後の店舗展開には前向きになり難い状態でした。

 

しかし、今年に入って事業の展開立地を「駅前」へシフトさせ、ディナータイムのみの営業形態の「餃子酒場」を開発しました。

 

結果、たった13坪の小さなお店が、月商460万円を売上げ、営業利益も26%と高い収益性を実現することに成功しました。

 

さらに、「鍋を振るビジネスモデルから脱却」したことで人材採用における不安も同時に解消することができました。

 

現在この老舗中華レストランを経営する会社では餃子酒場の多店舗化に向けて2号店目の物件を探索しています。

 

 

本事例からもわかるように「収益性の高いビジネスモデルに取り組む」ことの重要性をぜひ皆様の飲食店経営においても今一度ご確認いただければと思います。

 

上記事例について詳細を解説するセミナーをご用意しております。

 

ぜひ、収益性の高いビジネスモデル開発に関心のある方は下記よりご確認いただければと思います。

 

http://sem.funai-food-business.com/seminar/034322/

 

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール
【セルフ化&価格訴求】の融合による新しいビジネスモデル開発
外食
人材
2018/6/25
【セルフ化&価格訴求】の融合による新しいビジネスモデル開発

飲食店経営において今後最も重要なテーマが「人不足時代への変化対応」です。

 

採用力の強化、定着率の強化などはもちろん重要ですが、

根本的に「少ない人員で運営できるビジネスモデルへの転換」も必要です。

 

<「少ない人員で運営できるビジネスモデル」への転換例>

 

◆注文対応をセルフオーダーシステムの導入によってセルフ化する居酒屋や焼肉店、回転すし店

◆商品提供をコンベアレーン(回転すしで使われてきたシステム)で行う焼肉店

◆ドリンクを注ぐ段階からセルフ化する居酒屋

◆売上予測システムと発注システムの連動による自動化

 

など「省人化オペレーション(=セルフ化、自動化)」を組み込んだ業態が

増えてきています。

 

飲食店の経営において省人化オペレーションはこれからの

ビジネスモデル設計においては非常に重要な視点になってきます。

 

18歳人口が減少する流れの中で、人材採用はまだまだ困難を

極めていくのが「時流」です。

“人がいない”という「時流」に適合したビジネスモデルの開発が、

非常に重要になってきています。

 

そして、上記視点に加えて「価格訴求などの集客力アップ」の要素を

ビジネスモデルに組み込むことで収益性の向上に上手につなげる店舗も

増えてきました。

 

◆飲み放題をセルフ化する

◆メニューを均一価格にする

など価格訴求の要素は集客力アップにつながります。

 

この2つのキーワードを上手に組み合わせてビジネスモデルを設計することが

「人がいない」これからの時代に成長できる会社になる決め手に

なってくるかと思います。

 

ぜひ、皆様の飲食店の経営において「新業態開発」を進める際の視点として

参考にしていただければと思います。

 

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール
【飲食店経営】人材採用力と省人化モデルの構築が「競争力」となる時代へ
外食
人材
2018/4/22
【飲食店経営】人材採用力と省人化モデルの構築が「競争力」となる時代へ

これからの飲食店経営においてひとつの「時流適応」となるキーワードは「省人化」です。

 

ある当社会員企業様のところで展開しているFCビジネスは「省人化モデル」となっており、昨今の人不足時代に対応したビジネスモデルになっています。

 

実際にFC加盟希望者の「加盟動機」を聞いていても「人が少なくて経営ができるから」という声が非常に多く、時流適応したモデルといえるでしょう。

 

①券売機の導入

②呼び出しベルの導入(フードコートなどで利用されているもの)

③セルフ返却

 

この3つを盛り込んだ運営設計になっているため、スタッフ人数が少なくても営業できる仕組みになっています。

「省人化」はこれからますます飲食店の経営において重視されるテーマですので、大手チェーンでも研究やテストなどが進んでいます。

大手居酒屋チェーンが全テーブルに導入を進めているタッチパネルによるセルフオーダーシステムもその一環です。

 

しかし、これらの「省人化」システムを盛り込んだビジネスであったとしても、飲食店の経営において「現場スタッフをゼロ」にすることはできません。

一定の人員数は必ず必要です。

つまり、企業としての「人材採用力」は今後も重要であることには変わりがないのです。

 

そして「人材採用力」を高めて行くためには自社で働く魅力作りが必要になります。

給与や休日などの待遇だけでなく、会社へのロイヤリティであったり、働きやすい環境整備(企業内保育など)、ミッションへの共感、成長実感など、様々な切り口で“働き手にとっての魅力度”を高めることが重要になってきています。

 

船井総研では「総報酬の向上」が重要だと提言していますが、これらの充実に加えて、最適な採用手段の選択も重要になります。

 

そして、採用手段として現在効果を発揮しているのは「採用専用のホームページ」作りです。

 

会社やお店の紹介をしたホームページをお持ちの飲食店は多いですが、「採用専用のホームページ」を持ち、これらを検索エンジンによってしっかり閲覧されるように対策することが飲食店の採用力向上には必須です。

 

詳細はここでは割愛しますが、これからの飲食店経営においては「省人化モデル」と「人材採用力」の両方が飲食店の経営を行っていくうえで最も重要な要素であると言えます。

 

そして、これらが備わってないと「売れる商品や集客力の高いビジネスモデル」をお持ちであったとしても経営は上手く行きません。

 

ぜひ、上記2つの視点を早急に自社の経営に盛り込んでいけれるように行動を起こしていただければと思います。

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール
2018年 【バル 経営】 成功のコツ
外食
2018/3/08
2018年 【バル 経営】 成功のコツ

 

1.バル業態のライフサイクル

 

バル業態が注目され始めたのが2000年代前半だとすると、業態として15年のライフサイクルを経たことになります。全ての製品やサービスには「ライフサイクル」が存在し、ライフサイクルに応じて取るべき戦略が異なります。2018年のバル業態の打ち手を整理したいと思いますが、まずは、バル業態のライフサイクルを振り返っておきたいと思います。

 

もともと日本におけるバル業態のスタート(導入期)はスペインバルでした。立飲み、小皿料理(タパス)、ワインをカジュアルに楽しむといった切り口が注目され、拡がっていきました。

それまで欧風料理店はいわゆるレストランスタイルで、白のテーブルクロスにソムリエがワインを説明し、テイスティングをし、料理はコース料理が主流で、シェアリングの料理ではなく、パーソナルなチョイスで楽しむものでした。

この切り口のレストランに対しては、クイーンアリスのようなプリフィックス(予算は一定で選択の幅を持たせたコース)という販売方法や、Sのようなワインの均一価格などといった「わかりやすさ」と「予算の明朗化」が一つ進んだ“マーケティング”でした。

 

一方で、バル業態は「気軽さ」「カジュアルさ」「楽しさ」「手軽さ」「ワイワイガヤガヤ」といった立ち位置で登場し、男性ターゲットの居酒屋には行きづらい女性客がバルを好んで利用するようになりました。

その後、フレンチバル、イタリアンバルなどと国籍が拡がります。

そして、その次に「魚料理に強いバル」「肉料理に強いバル」など食材に強みを持ったバルが登場します。その流れで登場したバル業態の一つがニクバルです。

 

もともと東京を中心に都市部を中心に拡がったビジネスモデルですが、現在バル業態は地方都市においても珍しいものではなくなってきました。

 

 

2.バル経営を短命で終わらせないコツ

 

上記のように、ライフサイクルが進行すると、ビジネスモデルの型に変化が訪れます。

特に、飲食業界は「大きな市場規模」と「購買頻度の多さ」と「参入障壁の低さ」が業態特性ですので、明確にポジショニングを確立しきれないお店は瞬く間に陳腐化していきます。

このような業界特性を持つ市場において「持続力の高いビジネス」を展開していくためには、いくつかのポイントがあります。

 

①主力商品の高い商品力

新しいビジネスモデルは「利用動機」の切り口が異なることで登場するケースがほとんどです。バルの場合、それまでの欧風料理はレストランスタイルで体験できるものでしたが、それを「居酒屋感覚で」カジュアルで気軽に利用できるように利用動機を変更したことで生まれたビジネスモデルです。しかし、この「利用動機」の切り口というのはマネがしやすいため、ライバルの出現が多く発生します。例えば、2000年代に居酒屋業界では「照度の低い空間」「個室感」を切り口とした業態が登場し、ブームになりましたが、当時一世を風靡した業態で今も同様の繁盛、収益性を保っているお店はあまり存在しません。つまり、「利用動機」を切り口にビジネスの隆盛期に乗ったあとは、「商品力」を軸にした来店動機に上手にスライドすることが重要です。

 

②商品を軸とした来店動機を確立する

多くのバルは「おしゃれなお店」ということで初回来店を取りやすいのが特徴です。女性客や若者が「おしゃれな空間」や「SNS映えの良い商品」などに惹かれて来店します。

しかし、これらの来店動機だけでは「持続性が弱い」ため、それ以外の来店動機を確立していくことが重要です。「商品を軸とした来店動機」を確立できていないバルは開業から時間の経過とともに衰退していきます。一方で、繁盛を継続しているお店には「価格と価値のバランスでパフォーマンスの高い商品」が存在するケースが大半です。

つまり、短命で終わらせない強いバルを作るためには「商品力向上」が欠かせないのです。

一般的にはライフサイクルが進行すると原価率の高いお店が勝ち残ります。つまり、「原価率の上昇を吸収できる自店ならではの仕組みづくり」が持続的繁盛と収益性確保を両立するうえで重要になります。

お客様が評価し、それが自社ならではの強みと昇華出来るかどうかが、ライフサイクルが進行した状態では経営の競争力になっていきます。

 

③事業展開エリアでのシェアNO.1化

経営を安定化させる上で、他社よりも早くシェア(市場占有率)を獲得することはその後の競争を有利に導きます。特に経営資源に限りのある中小企業はむやみに商売の対象エリアを拡げるよりも、自店の知名度が影響しやすいエリアに絞って、店舗展開をしたり、販売促進活動をすることが重要です。日本でNO.1を目指す前にまずは地元商圏でNO.1になることの方が重要です。また、自店の知名度、影響力の高いエリアというのは「経営の収益性を高める」ことに直結します。あらゆる経営資源や経費の効率性が高まるのです。地方でNO.1になることを目指したのほうが、地方から東京へ進出するよりも高収益な経営を実現しやすいです。

アメリカには西海岸で圧倒的に強いハンバーガーチェーンが存在します。全米、さらには世界市場ではマクドナルドがNO.1のハンバーガーチェーンですが、西海岸エリアにおいては「IN&OUT」というローカルチェーンは、マクドナルドと隣接しても負けない強さを持っています。

「限られた経営資源をどこに集中するのか」は中小企業の経営においては非常に重要です。

 

 

3.2018年・バル経営のポイント

 

①価値ある食材調達を行い商品力を向上させよう

「おしゃれな空間利用」だけの来店動機で集客していたお店の不振化が加速しています。もはやそれらの来店動機は「希少性」がなく「陳腐化」し始めています。持続力のあるビジネスモデルに昇華させるために「商品力向上」に力を注ぎましょう。

 

②価格構成の見直しの実施

そして、食材コストの上昇を単純な値上げだけで解消してきたお店にも限界がやってきます。狙う客単価に見合った商品売価への修正が必要なお店が増えています。もう一度ゼロから自店メニューの中心価格帯を設定し、再点検を行いましょう。

 

③店頭リニューアルの実施

当初「おしゃれな店構え」ということで作ったお店も近隣に似たような店舗が増えてくると、埋没し始めます。例えば「赤色の看板」は一般的には目立ちますが、周辺に「赤色の看板」のお店が増えると、埋没してしまいます。同じような現象が起こっているエリアが増えています。

改めて外部環境が変化した時点の商売のエリアを俯瞰してみて、店頭のリニューアルを実施することが必要になります。市場にプレーヤーが増えると「差別化」が必要になると言いますが、差別化とは「他と違う」ことで力を発揮するものです。

 1)明るく目立つ店頭

 2)店内の明るさが外からも見える

 3)主力商品の価格が店頭でハッキリとわかる

 4)おしゃれさとカジュアルさを再融合した店頭

 

④「立地」が負け組に転じている場合は「移転」も考慮

バルの基本は1F路面での店舗開発が基本です。路面にお店の間口をしっかりと取りつつ、2Fにも客席を設けることは良いですが、そもそも1Fにお店の間口を持たない空中階や地下フロアで苦戦している場合は、「移転」も考慮するのがおススメです。不利な立地で商売を好転させるのは非常に力の要ることです。同じ経営努力をするにしても「結果の出やすい場所」を選択することは非常に大切です。

 

4.バル経営の魅力は『人材採用力』

 

上記のような視点が必要なライフサイクルに差し掛かったバル業態ですが、バル業態には他の飲食店には無い経営的な魅力があります。

飲食業界は空前の人不足です。この問題は当面続くでしょう。

多くの飲食店は「人が不足」していることで「売り逃し」、「既存人材の労働環境の悪化(長時間労働)」、「求人コストの上昇」などの経営課題を抱えるところが増えています。

しかし、バル業態は「人材採用力の高い」ビジネスモデルです。

先週当社の会員企業で2社がバルを開業されました。いずれも福島県郡山市、兵庫県神戸市といった地方都市での事例ですが、いずれのお店も既存事業(居酒屋や中華レストラン)では考えられない量の求人応募数を獲得できました。バル業態はこれらの人材不足の問題を解決しやすいビジネスモデルです。

ぜひマーケティング的な視点のみならず、自社のリクルーティング的な視点も組み合わせて【バル 経営】を深堀していっていただければと思います。

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール