| 船井総研 フード支援部

経営コンサルティングの船井総研 フード支援部
飲食店経営におけるビジネスモデルの持続性
外食
2017/11/24
飲食店経営におけるビジネスモデルの持続性

繁盛の継続力が高い飲食店3つの特徴
 
外食業界は非常に大きな市場ですが、一方で参入障壁が低いため、
ビジネスを継続的に繁盛させるためにはコツが必要です。
ここでは繁盛の継続力が高い飲食店の特徴についてまとめてみました。
 
ぜひ、皆様の飲食店経営、また、飲食店開業に当たってのヒントとしていただければと思います。
 
 
■繁盛の継続力が高い飲食店の特徴 その①
 =ライバル店と比較して高い商品力を持つ=
 
飲食店ビジネスは参入障壁が低いため、ライバル店の出現が日常的に起こります。
このような環境下においても繁盛を続けていくためには「商品力」が非常に重要です。
商品力を構成する様々要素の中でも重要になるのが「食材の品質」です。
食材の品質は「美味しさ」に直結しますが、特に食材の鮮度は重要です。
一方で高い商品力とお客様に評価されるためには「見た目の価値」も重要です。
高さ、面積、厚み、などボリューム感につながる要素は重要です。
また「見た目の価値」としては色彩感も重要です。
最近ではこのような「見た目の価値」の高い商品はスマホで写真撮影され、
SNSによって拡散されるため、特に重要になってきています。
これらの「基本価値」に対して設定される価格が、
ライバル店と比較してリーズナブルであることが繁盛の継続に繋がります。
 
 
■繁盛の継続力が高い飲食店の特徴 その②
 =運営水準が高いレベルで安定している=
 
 どんなに高い商品力を基本コンセプトに設計されていても、
それを実際にお客様が体験する際に「再現」されていなければお客様は評価しません。
また商品力が高くても、提供スピードが遅かったり、接客力が低かったり、
店舗の衛生環境が悪かったりすると、お客様は満足しません。
逆にスマホを使ってSNSでネガティブな口コミを発信し、
お店の評価を下げることに繋がっていきます。
すなわち、繁盛の継続力の高い飲食店を経営していくためには
「運営力」が非常に重要になります。
「運営力」は店長の入れ替わりやアルバイトの入れ替わりによっても起こりますし、
お店で働くスタッフのモチベーションの変化によっても発生します。
定期的にお店の「運営力」を客観的にチェックすることは
飲食店を経営するうえでは非常に大切です。
 
 
■繁盛の継続力が高い飲食店の特徴 その③
 =固定費が低い=
 
上記2つに力を注ぐためには固定費は低いほうがやりやすいです。
そのためには飲食店を開業する際に「初期投資は抑え」「家賃は相場よりも安い」
条件を選択したほうが、上記2つのことに経営資源を投入しやすくなります。
もちろん一等立地商法を取る大手チェーンもありますし、
飲食店における立地という要素が集客に及ぼす影響は非常に高いのも事実です。
しかし、このような一等立地商法は資本のあるプレーヤーにとってはリスクが低くても、
資本力のないプレーヤーにとっては大きなリスクになりやすい側面もあります。
特に飲食店を初めて開業する場合は、借入依存度が高い経営状態での出店となれば、
やはり固定費は抑えて出店するほうが良いと思います。
 
飲食店の経営は「店を作るのは簡単」ですが、「店を続けるのは難しい」というのが特徴です。
そのためには繁盛の継続力の高い商売のやり方を踏襲されることを私たちはオススメしております。
 

コンサルタントコラムの更新は、Facebookページでもお知らせしています。
執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール
いま繁盛する飲食店になるために必要な2つのキーワード【 専門店×コスパ 】
外食
2016/7/22
いま繁盛する飲食店になるために必要な2つのキーワード【 専門店×コスパ 】

飲食店経営において繁盛するために最も大事なことは「時流適応」です。
 
では、いまの飲食店経営における「時流」とは【 専門店×コスパ 】です。
一般的に新しい業態は時間が進むほどに、ハイコスパな業態となっていきます。
例えば焼肉店の主役となってきた業態の変遷を見ていくと、
1990年代に「輸入牛肉を使いカルビを500円前後で売る焼肉店」が登場し、
一気に新興チェーンが躍進しました。
 
その後、市場規模がピークに達し、そこから「差別化」が必要な時代を迎えます。
輸入牛肉をさらに安く売る店が登場したり、国産牛や和牛を使用し、
高品質な牛肉をリーズナブルに売るお店が登場します。
さらにそこからハイコスパ化が進み、ここ近年は食べ放題焼肉店が大躍進しました。
このように飲食店経営を中長期的に成功させ続けるためには、
予め時間の進行とともに到来する「ハイコスパ化」に備えることが重要です。
 
次に、飲食店経営において今後益々重要になるキーワードは「専門店」です。
お客様の成熟化が進むと、より専門性の高い店舗で食事をするようにシフトしていきます。
この点は居酒屋業界が非常にわかりやすい変遷を歩んでいます。
1970年~1990年あたりまでの市場が急激に成長していた時期の主役だった業態は「総合型居酒屋」です。
養老の滝、和民、天狗、などなど大手チェーンが勃興します。
刺身もあり、焼鳥もあり、なんでも揃う品揃えが総合的な居酒屋が主役でした。
その後、市場の成長がストップし「差別化」が必要な時代に入ると、
「安売り店」や「専門店」、「おしゃれ店」が登場します。
さらにその後時代が進むと、「専門店」は繁盛の必須の条件となっていきます。
いま最も元気な居酒屋企業の代表は鳥貴族さんだと思いますが、
鳥貴族さんは「焼鳥専門店」であり、非常に「ハイコスパ」な業態です。
またバルも現在は食材に専門性を持たせた「肉バル」などの専門店型のバルが繁盛します。
 
ファミリーレストランでも現在躍進しているのはブロンコビリーさんですが、
ステーキとハンバーグの専門店型ファミリーレストランです。
このように飲食店経営において時間軸の進行とともに進むのが「ハイコスパ化」と「専門店化」です。
この2つの視点を持って業態開発することが持続力のある飲食店経営につながっていくのです。

【 専門店×コスパ 】という視点で業態開発にチャレンジいただければと思います。
 

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール
飲食店経営における業態転換による業績向上法
外食
2016/9/01
飲食店経営における業態転換による業績向上法

飲食店経営において、
行き詰った店舗の業績向上を早期に実現しなければならない場合、
「業態転換」という手法がしばしば採用される。
 
以下は業態転換が必要になる典型的なケースである。
 
1)競合店の出現により、損益分岐点を大きく割り込み赤字転落した場合
2)既存業態そのものが陳腐化し、メニュー変更等ソフト面のテコ入れだけでは業績改善が望めない場合
 
一方、業績の不振や悪化が、そもそもの立地要因や物件要因に起因する場合は、
業態転換でなく、撤退をすべきケースもある。
また、「業態の選択」自体には間違いがないにも関わらず、
内部の実行の精度やオペレーション要因などによって、
業績不振を引き起こしている場合は、
飲食店の運営改善や経営マネジメントの精度アップによって業績向上を図るべきである。
よって、業態転換を実行する前に、
業績不振の原因を正しく特定する必要がある。
 
ひとつのブランドを長く経営することは非常に効率的であるため、
基本原則は「本業墨守」のスタンスであるべきだと私は思うが、
自社の取り組みではどうしても成果を出しにくい経営環境(外部環境の変化、内部環境の変化)に
なってしまった場合は、やはり業態転換は必要になる。
 
では飲食店の業態転換を成功に導くためには、
どのような視点が必要になるのだろうか?
 
まず必要なのは「モデルを明確にする」ことである。
自社ならではの独自固有の長所を宿した業態を作り、
独自固有の長所を育むことは非常に重要である。
 
しかし、時流に適合したモデル店舗を発見し、
そのモデル店舗から繁盛の要素を抽出し、
それらのエッセンスを骨組みとした上で、
自社の独自性を肉付けつけたほうが、
飛躍的に経営の成功確率は高まる。
 
そして「モデルを明確に設定する」にあたって、
注意しなければならないのがモデルの成立要件の把握である。
よく失敗するケースとして挙げられるのが、
「東京で繁盛している、かっこいい飲食店を見つけてきて、
地方でアレンジをせずにそのままモデルとして業態開発するケース」である。
モデルの成立条件を見誤ると業態転換は失敗する。
 
またその逆に、モデルの設定自体は間違っていないが、
「アレンジの仕方」を間違い業態転換に失敗するケースもある。
例えば、現在アルコールマーケットにおいて成功確率の高いビジネスモデルとして、
「肉バル」や「魚系大衆酒場」等があるが、
これらのモデルを選択しているにも関わらず、成立条件を見誤り開発に失敗したり、
モデルの選択は正しいにも関わらずアレンジの仕方を間違った結果、
成果が出ないということは街中を歩いて見ていてもよく見受けられる。
 
モデルを明確に設定するにあたっては、そのモデルの成立条件を正しく見極めた上で、
商圏人口や外部環境に応じた適切なアレンジを加えることが大切である。
 
飲食業界は成熟期であり、さらにライフサイクルのスピードも速いため、
「業態転換による業績向上法」は多くの飲食店で今後ますます必要になる。
今回述べた視点を参考にしていただければと思います。
 

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール
人手不足時代に対応したこれからの飲食店経営<br /> “収益性が高く” “生産性の高い”「新業態開発」のススメ
外食
2017/9/21
人手不足時代に対応したこれからの飲食店経営
“収益性が高く” “生産性の高い”「新業態開発」のススメ

飲食店経営者の皆様、いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。

いま、多くの飲食店では「人手不足」という悩みに直面しているかと思います。

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール
2018年 【バル 経営】 成功のコツ
外食
2018/3/08
2018年 【バル 経営】 成功のコツ

 

1.バル業態のライフサイクル

 

バル業態が注目され始めたのが2000年代前半だとすると、業態として15年のライフサイクルを経たことになります。全ての製品やサービスには「ライフサイクル」が存在し、ライフサイクルに応じて取るべき戦略が異なります。2018年のバル業態の打ち手を整理したいと思いますが、まずは、バル業態のライフサイクルを振り返っておきたいと思います。

 

もともと日本におけるバル業態のスタート(導入期)はスペインバルでした。立飲み、小皿料理(タパス)、ワインをカジュアルに楽しむといった切り口が注目され、拡がっていきました。

それまで欧風料理店はいわゆるレストランスタイルで、白のテーブルクロスにソムリエがワインを説明し、テイスティングをし、料理はコース料理が主流で、シェアリングの料理ではなく、パーソナルなチョイスで楽しむものでした。

この切り口のレストランに対しては、クイーンアリスのようなプリフィックス(予算は一定で選択の幅を持たせたコース)という販売方法や、Sのようなワインの均一価格などといった「わかりやすさ」と「予算の明朗化」が一つ進んだ“マーケティング”でした。

 

一方で、バル業態は「気軽さ」「カジュアルさ」「楽しさ」「手軽さ」「ワイワイガヤガヤ」といった立ち位置で登場し、男性ターゲットの居酒屋には行きづらい女性客がバルを好んで利用するようになりました。

その後、フレンチバル、イタリアンバルなどと国籍が拡がります。

そして、その次に「魚料理に強いバル」「肉料理に強いバル」など食材に強みを持ったバルが登場します。その流れで登場したバル業態の一つがニクバルです。

 

もともと東京を中心に都市部を中心に拡がったビジネスモデルですが、現在バル業態は地方都市においても珍しいものではなくなってきました。

 

 

2.バル経営を短命で終わらせないコツ

 

上記のように、ライフサイクルが進行すると、ビジネスモデルの型に変化が訪れます。

特に、飲食業界は「大きな市場規模」と「購買頻度の多さ」と「参入障壁の低さ」が業態特性ですので、明確にポジショニングを確立しきれないお店は瞬く間に陳腐化していきます。

このような業界特性を持つ市場において「持続力の高いビジネス」を展開していくためには、いくつかのポイントがあります。

 

①主力商品の高い商品力

新しいビジネスモデルは「利用動機」の切り口が異なることで登場するケースがほとんどです。バルの場合、それまでの欧風料理はレストランスタイルで体験できるものでしたが、それを「居酒屋感覚で」カジュアルで気軽に利用できるように利用動機を変更したことで生まれたビジネスモデルです。しかし、この「利用動機」の切り口というのはマネがしやすいため、ライバルの出現が多く発生します。例えば、2000年代に居酒屋業界では「照度の低い空間」「個室感」を切り口とした業態が登場し、ブームになりましたが、当時一世を風靡した業態で今も同様の繁盛、収益性を保っているお店はあまり存在しません。つまり、「利用動機」を切り口にビジネスの隆盛期に乗ったあとは、「商品力」を軸にした来店動機に上手にスライドすることが重要です。

 

②商品を軸とした来店動機を確立する

多くのバルは「おしゃれなお店」ということで初回来店を取りやすいのが特徴です。女性客や若者が「おしゃれな空間」や「SNS映えの良い商品」などに惹かれて来店します。

しかし、これらの来店動機だけでは「持続性が弱い」ため、それ以外の来店動機を確立していくことが重要です。「商品を軸とした来店動機」を確立できていないバルは開業から時間の経過とともに衰退していきます。一方で、繁盛を継続しているお店には「価格と価値のバランスでパフォーマンスの高い商品」が存在するケースが大半です。

つまり、短命で終わらせない強いバルを作るためには「商品力向上」が欠かせないのです。

一般的にはライフサイクルが進行すると原価率の高いお店が勝ち残ります。つまり、「原価率の上昇を吸収できる自店ならではの仕組みづくり」が持続的繁盛と収益性確保を両立するうえで重要になります。

お客様が評価し、それが自社ならではの強みと昇華出来るかどうかが、ライフサイクルが進行した状態では経営の競争力になっていきます。

 

③事業展開エリアでのシェアNO.1化

経営を安定化させる上で、他社よりも早くシェア(市場占有率)を獲得することはその後の競争を有利に導きます。特に経営資源に限りのある中小企業はむやみに商売の対象エリアを拡げるよりも、自店の知名度が影響しやすいエリアに絞って、店舗展開をしたり、販売促進活動をすることが重要です。日本でNO.1を目指す前にまずは地元商圏でNO.1になることの方が重要です。また、自店の知名度、影響力の高いエリアというのは「経営の収益性を高める」ことに直結します。あらゆる経営資源や経費の効率性が高まるのです。地方でNO.1になることを目指したのほうが、地方から東京へ進出するよりも高収益な経営を実現しやすいです。

アメリカには西海岸で圧倒的に強いハンバーガーチェーンが存在します。全米、さらには世界市場ではマクドナルドがNO.1のハンバーガーチェーンですが、西海岸エリアにおいては「IN&OUT」というローカルチェーンは、マクドナルドと隣接しても負けない強さを持っています。

「限られた経営資源をどこに集中するのか」は中小企業の経営においては非常に重要です。

 

 

3.2018年・バル経営のポイント

 

①価値ある食材調達を行い商品力を向上させよう

「おしゃれな空間利用」だけの来店動機で集客していたお店の不振化が加速しています。もはやそれらの来店動機は「希少性」がなく「陳腐化」し始めています。持続力のあるビジネスモデルに昇華させるために「商品力向上」に力を注ぎましょう。

 

②価格構成の見直しの実施

そして、食材コストの上昇を単純な値上げだけで解消してきたお店にも限界がやってきます。狙う客単価に見合った商品売価への修正が必要なお店が増えています。もう一度ゼロから自店メニューの中心価格帯を設定し、再点検を行いましょう。

 

③店頭リニューアルの実施

当初「おしゃれな店構え」ということで作ったお店も近隣に似たような店舗が増えてくると、埋没し始めます。例えば「赤色の看板」は一般的には目立ちますが、周辺に「赤色の看板」のお店が増えると、埋没してしまいます。同じような現象が起こっているエリアが増えています。

改めて外部環境が変化した時点の商売のエリアを俯瞰してみて、店頭のリニューアルを実施することが必要になります。市場にプレーヤーが増えると「差別化」が必要になると言いますが、差別化とは「他と違う」ことで力を発揮するものです。

 1)明るく目立つ店頭

 2)店内の明るさが外からも見える

 3)主力商品の価格が店頭でハッキリとわかる

 4)おしゃれさとカジュアルさを再融合した店頭

 

④「立地」が負け組に転じている場合は「移転」も考慮

バルの基本は1F路面での店舗開発が基本です。路面にお店の間口をしっかりと取りつつ、2Fにも客席を設けることは良いですが、そもそも1Fにお店の間口を持たない空中階や地下フロアで苦戦している場合は、「移転」も考慮するのがおススメです。不利な立地で商売を好転させるのは非常に力の要ることです。同じ経営努力をするにしても「結果の出やすい場所」を選択することは非常に大切です。

 

4.バル経営の魅力は『人材採用力』

 

上記のような視点が必要なライフサイクルに差し掛かったバル業態ですが、バル業態には他の飲食店には無い経営的な魅力があります。

飲食業界は空前の人不足です。この問題は当面続くでしょう。

多くの飲食店は「人が不足」していることで「売り逃し」、「既存人材の労働環境の悪化(長時間労働)」、「求人コストの上昇」などの経営課題を抱えるところが増えています。

しかし、バル業態は「人材採用力の高い」ビジネスモデルです。

先週当社の会員企業で2社がバルを開業されました。いずれも福島県郡山市、兵庫県神戸市といった地方都市での事例ですが、いずれのお店も既存事業(居酒屋や中華レストラン)では考えられない量の求人応募数を獲得できました。バル業態はこれらの人材不足の問題を解決しやすいビジネスモデルです。

ぜひマーケティング的な視点のみならず、自社のリクルーティング的な視点も組み合わせて【バル 経営】を深堀していっていただければと思います。

執筆者
フード支援部/上席コンサルタント
二杉 明宏
プロフィール