【和食店・居酒屋がアフターコロナで宴会減少の市場から勝ち残るために取り組むべきこと】 | 船井総研 フード支援部

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2021/7/03

【和食店・居酒屋がアフターコロナで宴会減少の市場から勝ち残るために取り組むべきこと】

株式会社船井総合研究所  林田大碁

【和食店・居酒屋がアフターコロナで宴会減少の市場から勝ち残るために取り組むべきこと】

皆さま、こんにちは。

船井総研フード支援部の林田(はやしだ)です。

いつも当コラムをお読みいただきありがとうございます。

 

当コラムでは、宴会売上依存をしていた和食店が今後、アフターコロナ時代に勝ち残っていく、

業績を上げていくために取り組むべき事を、宴会依存の体系を脱した

和食店様の成功事例を元にご紹介をしていきます。

 

昨今、コロナの影響を受けて、特に地方や郊外エリアの和食店は宴会需要が減少し、

売上に大きな影響があったのではないでしょうか。

更に今後も、コロナによって、(宴会を含む)人が集まる需要「非日常(法事・慶事やお祝いでの食事)」需要は

自家需要化の傾向があり、これも店舗内での売上減少の要因となっていくのではないかと思われます。

そういった中でも、宴会売上に依存しない収益モデルへと転換し、成功を収める企業様があります。

 

 

滋賀県犬上郡という人口約2.1万人の地方郊外エリアにある、株式会社くらま様。

元々、館内和食店(座敷)での宴会・法事・慶事などの集まりと旧来型仕出し(料理売上)と

ホテル(宿泊売上)との大きくは2つを主軸としていていました。

しかしコロナの影響を受けて、館全体での売上が大幅に減少。

宿泊売上ももちろんですが、料理売上も下落し、最も影響度が大きかったのは宴会売上で、

減少率は前年対比約5%と、ほとんど0%といっていいほどの落ち込みでした。

 

そんな中で、この状況を脱するべく同企業様では、2つのことに取組みました。

1)中食需要も取り込むファストフード(日常食事)業態の開発

2)デリバリー(仕出し・宅配)の強化

 

1)では、開発後の初月で800万円超の売上を達成し(テイクアウト比率は40%越え)、

2)では、年商が7,000万円ほどの売上となっており、コロナによる料理売上の減少をしっかりと補填し、

宴会売上に依存しない収益体系へと変わっています。

 

 

それでは同企業様のそれぞれの取組みやポイントを見ていきます。

 


1)中食需要も取り込むファストフード(日常食事業態)の開発

これまでの既存業態(宴会や非日常需要中心の和食店)とは異なり、

日常の食事需要にリーチした商材・予算帯のため、売上を上げていくポイントは和食店とは異なります。

同企業では、大きく4つのポイントを踏まえながら業態を開発していきました。

1:マーケットサイズの大きい(需要の大きい)商材選定と専門店化

2:中食需要(テイクアウト・デリバリー)を取り込む前提の設計

3:商品の予算による大手や同業態との棲み分け

4:ライブ感・本物感の演出、食べ方の提案による差別化要素作り

 

 

1:マーケットサイズの大きい(需要の大きい)商材選定と専門店化

まず、商材選定の面では地方郊外、商圏人口が少ないという立地条件も鑑みて、

マーケットサイズの大きい商材(例:唐揚げ、天ぷら、トンカツ、カレーなどのいわゆる国民食)

を選定する必要がありました。商材の選定は集客力に大きく影響するため、

(知らない食材、商材では来店しにくい)商材選定でマーケットサイズの大きい商材を選定することは、

基本ですが、非常に重要なポイントです。

また同社では、数ある商材の中でも、和食店という既存業態の優位性(調理技能やレシピ、経験値)を

活かすために和の商材に絞り込み、最終的に「天ぷら・天丼」の専門店となりました。

 

2:中食需要(テイクアウト・デリバリー)を取り込む前提の設計

このコロナによって当たり前化したのが、テイクアウト・デリバリーといった「中食」という概念です。

もともとここ10年ほどで、未婚率の上昇や女性の社会進出、1人世帯比率の増加などを背景に、

成長を続けてていた中食市場でしたが、このコロナによって、

テイクアウト・デリバリーサービスの利用率が飛躍的に伸びたことで更なる成長を遂げています。

テイクアウト・デリバリーの需要は顕著化しており、その需要を取り込むことで、

店舗外の売上(席数に関わらない売上)を付加することができます。

 

同社では、中食需要を取り込むために、

■テイクアウト誘導用ショーケースと待合室の設置

⇒テイクアウト商品を外食来店客にも2回目以降で注文させるためのショーケースを設置し、

またテイクアウトの注文心理障壁となる「悪天候時の待ち時間」

を緩和する為に、店内に待合場所を設置しています。

■専門商品の開発と訴求

⇒通常のテイクアウト対応であれば、「既存商品をテイクアウト対応できます」

という文言掲載が散見されますが、この店舗の販促物やメニュー表ではテイクアウト専門商品として、

(商品写真も含めて)商品を掲載することで、テイクアウトサービスを強く印象づけて、

テイクアウトの誘導を行っています。

■事前予約(アプリ)の導入

⇒テイクアウトの心理障壁は、上記のように「待ち時間」になります。

それを無くすために専用アプリを導入しています。併せて決済も含めて事前に済ませることで、

心理障壁となる店舗内での待ち時間はほとんどなく、スムーズに注文・持ち帰りできる仕様になっています。

 

3:商品の予算帯と品揃え

ここでは、大手チェーンや他店との差別化する要素についてです。

まず日常食事業態においての前提は、中小企業の和食店においては大手チェーンとの価格競争、

コンセプト競争をしないこと(不戦戦略)です。流通(仕入れ)において相当の優位が無い限り、

低価格路線での勝負は、低収益化・衰退を招く恐れがあり、決してお薦めできません。

例えば、大手チェーンでは下限価格が天丼500円・天ぷら定食670円や、

天丼390円・天ぷら定食540円など概ね500円の予算帯(400~599円)に集中しています。

一方、当コラムで紹介している株式会社くらま様の天ぷら・天丼専門店の場合、

下限価格は天丼680円・天ぷら定食770円となっており、

その1つの上の670円の予算帯(670~799円)に商品を置いています。

これによって明確な価格差(予算帯の違い)をつけ、商品に掛けられる原価額を増やし、

商品品質を担保していく狙いがあります。

また、800円予算(800~999円)、1,000円予算(1,000~1,199円)を下回ることで、

他店のランチ予算を下回り、他業態や同業態の和食店には価格優位性を持つことを狙っています。

しかし、メインとなる商品の金額を上げる事は、客数減少(大手に負ける)の要因になりかねません。

そのため、次項で上げる大手チェーンや専門店ではない同業態との差別化要素を作っていく必要があります。

 

4ライブ感・本物感の演出、食べ方の提案による差別化要素作り

上項のように下限価格をチェーン店(競合他社)よりも上げる分、

より選ばれる(差別化)要素を作る必要があります。

そのため、同店舗では以下のような、取組みを実践しています。

■職人手揚げ、銅鍋での揚げ

⇒チェーン店で見られるパート・アルバイトスタッフでなく和食の職人が揚げています。

フライヤーでなく、中~高単価でも見られる銅鍋を使って調理をすることでより本物(専門)感を演出します。

■オーダー後調理+オープンキッチン

⇒オーダー後に調理をすることでより出来立てのものを提供すると同時に、

オープンキッチン(厨房が見える様にガラス張り)にすることで

調理風景が見えるようにし、鮮度の良さ(出来立て感)を演出します。

■丼・定食の商品には薬味と〆の出汁を添える

⇒そのまま食べるという1つの食べ方だけではなく、途中から薬味や出汁(天茶漬け)を使うことで

3度味を変えて食べることができる提案をしています。

この提案を行うと複数回でも飽きが来づらい(離脱防止)などの効果もあります。

 

 


2)デリバリー(仕出し)の強化

もう一方で、くらま様が取り組んだのは、デリバリー(仕出し・宅配)事業の強化でした。

こちらは元来、和食店として取り込めていた法事・慶事・宴会などいわゆる非日常の需要が

コロナによって自家需要化(喫食場所の変化)したニーズを中心に獲得を狙っていきました。

また、コロナによって仕出しのマーケットは以下のように変化していきました。

【コロナ前】

・製薬会社、法人や団体の中型~大型案件が安定して売上を牽引

・自治会、運動会といったシーズンごとのイベントによって案件発生

・8月、12月(長期連休)は個人顧客の大人数集まりで繁忙期に

【コロナ後】

・製薬会社、大口案件は在宅勤務によって減少

・シーズンごとのイベントは軒並みキャンセル

・法事、慶事、宴会などは自宅で少人数での実施

・長期連休の繁忙期は巣籠もり需要が発生(少人数化)

上記でも最も顕著だったのは「個人需要の増加」「少人数化」の2つでした。

 

これに伴って、同社では下記のような対応をしていくことで、

コロナによって変化した大小様々な需要を取り込んでいきました。

■法事・慶事

⇒身内のみの法事や慶事が増えたことで、1個あたり単価の減少に伴い、

法事や慶事用商品として打ち出す下限価格の価格を下げ(2,000円~ご用意のような)、

また持ち帰り容器の需要が増えたため、当該商品の打ち出しを紙・Webともに強化し、

価格や形態を理由にした案件の取りこぼしを防止した。

また、逆に元々外食店を利用しようと考えた客層(=仕出し利用でも購買単価が高くなる層)を

取り込むため、高単価の一部回収容器商品の打ち出しも大きくした。

■法人

⇒法人では、懇親会・忘新年会などの外食店が無い代わりに弁当としては

やや高い単価(1,500円~案件によっては3,000円近く)のものを、

社内でのランチ会や弁当などを渡すなどの会の“簡略化”の需要が見られた。

そのため、法人向けに関しては当該価格の商品をWeb上の打ち出しを強化し、

DMなどでのアプローチなども併せて実施した。

また、これ以外にもコロナ渦でニーズが変わったもの、需要が落ちなかったものが散見されたため、

・Web利用数の増加(HP流入の増加)→HPの改廃やテコ入れを高頻度で実施

・自宅宴会少人数化→少人数用オードブルやおせちの販売

・日常食事のプチ贅沢(外食店の置き換え)→すき焼きセット、軍鶏鍋セットの販売

などを行っていきました。

 

ここまで以下のように、大まかではありますが、くらま様の取組みとそのポイントをお伝えしてきました。

 

1)中食需要も取り込むファストフード(日常食事業態)の開発

→日常の食事需要にリーチした業態(商材)である。マーケットサイズの大きい商材の専門店として

中食需要(テイクアウト・デリバリー)を取り込む前提の設計をしていく。

大手チェーンとは商品予算(高付加価値を付け価格は高い)、ライブ感・本物感の演出、

食べ方の提案、品揃えによる差別化要素作り。

2)デリバリー(仕出し)の強化

→和食店として取り込んでいた法事・慶事・宴会などいわゆる非日常需要の

自宅化(喫食場所の変化)したニーズを中心に獲得。

コロナによって変わった単価や喫食人数、商品仕様に対応した商品を中心に打ち出す。

 

 

このコロナ時代で多くの和食店が業績不振と、次に何をすべきかということに悩んでいると思います。

また、コロナ前より郊外型和食店の市場は衰退している市場であったため、

コロナが収束した後も、そのままの売上構造や運営体制では、

収束後も業績が奮わない店舗も多くあると我々は考えています。

そんな中でも既存事業とは別のベクトル(中食事業への参入や日常食事業態の開発)

といった取組みを考えてもいいのではないでしょうか。

 

そういった中で、当コラムをお読みの方にお知らせがございます。

当コラムでご紹介をしている株式会社くらま様をゲスト講師にお迎えし、

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また、当コラムに関する無料の経営相談も随時承っておりますので、

気になる方は奮ってご参加、お問い合わせください。

 

 

皆様の経営の一助になれば幸いと存じます。

 

 

株式会社船井総合研究所  林田 大碁

 

 

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担当者
林田大碁

東京農業大学を卒業後、新卒で船井総合研究所に入社。シニアフード業界、歯科業界などのコンサルティング経験を経て、宅配・中食業界のコンサルティングの道を歩み始める。「食」に関わるコンサルティングに強いこだわりを持ち、宿泊、小売、飲食業中心にBtoCビジネスの企業を中心に宅配・中食事業参入や業務改善・生産性アップのコンサルティングをしている。自分の足と経験で稼いだ現場レベルでの提案や、全国各地の事例と数字から語る戦略・戦術の提案に定評がある。

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