MENU
船井フードビジネス.com

外食・中食ビジネス
DX推進コンサルティング
関連コラム

飲食店がDXで生産性向上を実現する方法【最新事例解説】

2022年の年明け以降の第6波により、非常に厳しい経営環境にある飲食店。

また、需要が一時的に回復した2021年の年末においても人手不足に陥り、現在も円安や戦争による資源高の状況が続いている中で、原材料費の高騰など逆風が続いています。

環境変化が今迄にないスピードで進む中、飲食店の経営のあり方に変化が求められる中で、DX化(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる必要性がさらに高まっています。

ウイズコロナで集客力の回復にはまだしばらく時間もかかるでしょう。
さらに原材料の高騰や時給単価の上昇なども続く中で、事業の収益性確保を再定義し、「生産性向上を実現すること」は飲食店経営において必須の経営課題と言えます。

しかし、日進月歩で進化する様々なデジタル技術や新たに登場するシステムの活用によって、店舗運営や経営の効率化、工数の削減を実現しやすい時代でもあります。またコロナによって人々の意識も大きくわかりました。「混雑を避けるための予約のデジタル化」や「キャッシュレス決済の導入」、「セルフレジによる会計時の接触の軽減」、「配膳ロボットの活用による接客シーンでの店員との接触軽減」などが従来よりも進めやすい背景も備わっています。

一方で業務効率化のアプローチだけでは生産性向上は実現できません。
デジタル化によって顧客体験が損なわれてしまうと本末転倒です。
店舗におけるお客様の満足度アップやデジタル技術を活用することでお客様とのつながりの創出し、販促などにもマーケティング活動にもつなげていくことで、「売上高を上げていくアプローチ」がセットになっていることが重要です。

 

今回は飲食店がDX化を進めるために必要なポイント、役立つノウハウを解説をさせていただきます。
皆様の会社や店舗におけるデジタルトランスフォーメーションの推進において参考にしていただければと思います。

 

 

 


外食業界時流予測レポート2022を無料ダウンロード!


1. 集客DXについて


新型コロナウイルスのワクチン接種率が高まった11月~12月において、集客の戻りが早かった店舗の特徴として

1)指名検索数が多かった事


2)顧客リストを多く保有していた事


が挙げられます。

1)指名検索数が多かった店舗というのは、目的来店性を取れている店舗で言い換えれば【元々繁盛していたお店】です。数字で見るとアナリティクスの月間のセッション数が3500/店以上あった店舗は集客が好調でした。

2)顧客リストを多く保有していた店舗というのは、直接来店経験のある顧客に対してプル型の配信が出来た店舗です。具体的にはLINE公式アカウントの友達数が5,000人/店を超えていた店は集客が安定していました。

こういった事例から、デジタルを活用した集客DXにおいてやるべき事を整理していきます。


①オウンドメディアを活用した集客DX


この2年間の特徴として、「グルメサイトの費用対効果が合わない」と感じる事が多くありました。そこで、グルメサイトに頼らない新規集客のためにオウンドメディアを活用した集客手法が成果を上げるようになってきました。
具体的に、ランディングページ(LP)を店舗当たりで作成して集客の起点にしていきます。
下記にLPを作成する事によるメリットとデメリットを記載していきます。

メリット1:Googleビジネスプロフィール(旧GMB)のMEO対策となる


Googleビジネスプロフィールに紐づいているウェブサイトのSEO対策が、直接的な対策となっていきます。多くの飲食店が自社ホームページの代用としてグルメサイトを使用しているため、この辺りの対策が出来ていない飲食店が多いです。

メリット2:広告出稿の出口を自社で持てる


チラシの反響率が年々減少する中、Instagram広告の反響が高まりつつあります。東京や大阪といった大商圏は既に取り組まれている企業が多いですが、地方都市であっても反響がチラシより高く、尚且つコストパフォーマンスも高いです。一方で広告を出稿するものの内容と一致するページがないと離脱が高まるため、LPを保有していると簡易的にでも広告の出口(飲食店ならば予約・持ち帰り注文など、CVRという)を持てるようになります。

デメリット1:成果が出るまで時間がかかる


グルメサイトと異なり、成果が出始めるまで早くて3ヵ月はかかります。そのため即効性がある施策ではありません。

デメリット2:見た目や使い勝手がよくないと意味がない


元々自社ホームページを保有されている企業様であっても、スマホ対応していないケースが散見され、お客様の使い勝手が良くないとホームページに流入をさせても予約といったCVRに繋がりません。


具体的にオウンドメディアを活用した集客手法に関しては割愛しますが、グルメサイトのCPO(顧客1人当たりの獲得コスト)は500円~700円に対してLPでは200円~300円と非常に高い費用対効果での集客が出来ている店舗が増えてきております。実際に京都の繁華街店舗ではグルメサイトの掲載費を全て0円にしてもLP起点で集客が出来ています。



②LINE公式アカウントを活用した集客DX


一般的に飲食店では、2回目来店率が20%、通販であれば2回目購入率が33%程度だと言われており、「常連化」させる事が非常に重要なビジネスです。
逆に3回目来店されると10回目までは10%前後で推移する事から私たちは「3回安定10回固定の法則」と呼んでおります。
つまり、如何にお客様に「3度来店頂くか」が決め手となりますが、一方である大手ファストフードチェーンでは「年間で60%のお客様が年に1度しか来店しない」というデータがあるように、数多くある飲食店の中で来店頻度を高める事は非常に難しいといえます。

ですが、再来店(リピート)しない理由としては「行く理由がない、忘れていた」が大きく影響をしているため、一度来店されたお客様に対して「行く理由を作る、覚えてもらう」施策が必要になります。一度来店されたお客様との接点作りとして「SNSのフォロー数、アプリのダウンロード数、LINE公式アカウントの友達数」といった「デジタル資産」と呼ばれる接点作りが今後益々、飲食店経営においては重要となります。

一方で経営者様より「アプリが良いのか、LINEが良いのか、ハガキ会員が良いのか、わからない」といったお声を多数頂きます。

私たちの見解としては、LINE公式アカウントの導入優先度が高い、としております。

アプリの場合ダウンロードハードルが非常に高く、誰もが知るチェーン店であってもダウンロード率は10%前後です。更に、アプリ自体の利用頻度が少ないため消費者のスマホの容量次第で真っ先に削除候補となります。

一方、LINE公式アカウントであればほとんどのスマホにインストール済み(月間利用者8,800万人)のためダウンロードハードルが低いため、運営力に課題の多い中小企業であっても友達数を増やす事はアプリと比べ現場負担も少ないといえます。

ただし、LINE公式アカウントは「友達数を増やしやすい」「既読率が高い」というメリットの他、「ブロックされやすい」「友達数が増える程コストが発生する」デメリットも議論されるところですが

配信する企画内容や画像の精度(クリエイティブ)次第では、ブロック率も非常に低く推移します。更に、コスト増に関してもCPO(1人当たり獲得コスト)は100円~150円とグルメサイトの1/5以下の費用で集客が可能です。

LINE社は「LINE公式アカウント」以外にも、「LINEミニアプリ」、「LINEで予約」や「LINEプレイス」等飲食店にとって必要な機能を網羅し始めているため、今後も注力しておくべき存在でしょう。



③Googleビジネスプロフィール(旧GMB)、SNSを活用した集客DX


Googleビジネスプロフィールや各SNSの活用も飲食店の集客においては必要不可欠となってきました。特にGoogleビジネスプロフィールは即効性もあるので必ず取り組みたい施策です。

Googleビジネスプロフィールでは1)関連性 2)知名度 3)距離が上位表示に大きく影響をします。
そのために1)オウンドメディアのSEO対策 2)サイテーション 3)キーワードの入った口コミの量 4)情報の正確性 5)投稿の質×頻度の5つは必ず行いたい施策です。

サイテーションとは、言及や引用を意味しており「Web上でどれだけ店の事を取り上げられているか」です。
また、Web上で取り上げられていると判断されるために「店名・住所・電話番号・営業時間」は必ず完全一致とする必要があります。
特に営業時間はコロナ禍で二転三転するため、編集し忘れが散見されますのでここも抑えておきたいところです。

たまに過度な枕詞を入れている店名を見かけますが、ペナルティ対象のためすぐに止めた方がよいでしょう。

SNS活用において、お客様の情報収集ツールの多様性が広がる中、それぞれのSNS媒体でお店を発見してもらえるようにします。また、お客様は「グルメサイト⇔オウンドメディア⇔SNS⇒口コミ」と回遊しているため、こちらの情報コンテンツの質×量×鮮度も重要となります。

一方で、SNSに投稿する内容の質や頻度、数値測定やPDCAを現場に丸投げしているケースも多くあり、運用出来ないケースが散見されます。

そういった時には「消費者がSNS上にアップ頂いた投稿をアップし直す」施策をオススメしております。アップし直すだけのため、企画を考えなくてもよく、店舗では「お客様のSNS投稿数」がKPIとなるため、店舗運営管理もし易くなります。
ただ、緊急事態宣言で営業が制限されている中では消費者も投稿したがらないためフォロワーを増やす施策を実施する事をオススメします。


2. 営業オペレーションDXについて


原材料費の高騰や採用単価の高騰、最低賃金の上昇といったコストアップが、需要が一時回復した年末において課題となりました。一方でコストアップが一時的なものでなく、コロナ前からの時流であったため、生産性(=人時売上高)を高める取り組みが今後必須になってきます。そこで営業オペレーションをDX化させる事で省人化を図る必要性が高まってきております。


①配膳ロボットを活用したオペレーションDX


大手各社が決算説明会において「配膳ロボット3000台導入を目指す」といったニュースが出る程、2022年は配膳ロボットの導入が大手企業を中心に飲食店で進みます。
一方で、東海地方で焼肉店を8店舗経営されている企業ではすでにほぼ全店複数台導入がされているなど、地方都市の中小企業であっても今後注目のツールです。

実際にその焼肉店では配膳ロボットが導入されている店舗では人時売上高が5500円を超えており、業界平均4000円を大きく上回る生産性を発揮しております。
社員含む平均時給が1500円の時、業界平均だと人件費率37.5%ですが5500円ですと27.2%となりPL構造が全く異なります。

②中食付加をするためのオペレーションDX


ある大手チェーンではコロナ前のテイクアウトの売上構成比が20%以下でしたが、時短営業中は50%を超え、時短明けでも40%のテイクアウトの売上構成比が残っております。客席数に売上が左右されない一方で、QSCSAの維持のためには厨房の増設や設備補強が必須のため、このオペレーションDXも進める必要性があります。

具体的に、店外モバイルオーダーによる注文動線の確立や、注文オーダーをモニター化する事でスタッフが調理に専念できる環境整備が必須となってきます。
元々フリーター比率が下がり、週2回勤務以下の未熟練者が増えている中、コロナ禍で人手不足が加わったため、未熟練者の業務内容を減らす事も必要となってきます。


③モバイルオーダーを活用したオペレーションDX


「非接触」というキーワードにより、モバイルオーダーを導入される企業が増えてきました。最近では、LINEミニアプリを活用したモバイルオーダーも登場しており、注目のITツールです。LINEミニアプリを使用すると、①自動でLINE公式アカウントが友達になり、②LINEIDが注文データと紐づく事で③来店回数・最終来店日・購買金額といった顧客情報が取れるようになります。実際に注文者が自動でLINE公式アカウントの友達化される事により3ヵ月間で友達数が6,700人に到達する事例も出ております。

LINEミニアプリを現在導入するには、POSレジを入れ替える必要があるためそのスイッチングコストによる導入ハードルがある一方で、それが参入障壁となり同一商圏内での飲食店において顧客リストという観点では抜きん出た成果が見込めます。

3. マネジメントDXについて


人手不足が顕著になる中で、多くの飲食店経営者様からお悩みとして伺うのは「社員・幹部候補の退職」です。外食・中食の業種に関わらず他業種でも退職が増加しており、マネジメント体制の構築も今後必須となってきます。


①API連携によるマネジメントDX


飲食店向けの各ツールを導入されている企業も多いと思いますが、その各ツールがAPI連携されておらず、二度手間三度手間になっている事が多々あります。それぞれのツールを点でなく線にする事で、現場はより重要なお客様と従業員に対して時間を充てる事が可能になります。今後、ITツールの導入検討されている場合は「API連携がされているか」を検討事項に入れておく事をおすすめします。
※「API連携が可能」というベンダーもいますがAPI連携をするには工数・時間・費用がかかるため可能であるが、されないと思っておいた方が健全です。

②BIツールを活用したマネジメントDX


売上・利益分析をする際に店長やスーパーバイザーが数字を加工し営業会議で報告するといった事が一般的でしたが、変化の速い現代において高速でPDCAサイクルを回す必要があり、BIツールを活用すると既に加工された状態で即時に数字が確認できるため今後注目のツールです。
Googleデータポータルであれば無料で始められるため、おすすめです。

③代理店に頼らない採用マネジメントDX


経済が回復した時に人手不足が顕著になり、今後採用の難易度が上がる事が想定されております。10月末に緊急事態宣言が解除された時には各社の採用活用が活発化し、採用媒体上で「埋もれる」という事象が発生しました。ある飲食企業では採用費として50万円をかけたものの採用0人といった事象もありました。

そこで、代理店に頼らずに自社の採用ホームページを活用する事で採用コントロールが出来た企業が人手不足に対応できました。
自社の採用ホームページがある事でIndeedやGoogle for jobsといった媒体での出稿がやりやすくなりますので、是非活用して頂きたいと思います。

4. まとめ


如何でしたでしょうか?飲食企業のDX化を進める事で人時売上高の向上や販売促進費、採用費のコントロールによりPL構造の変化をもたらす事が出来ると考えております。

経営において大切な事は「時流適応と原理原則」ですが、DX化は間違いなく時流の一つですので是非取り組んで頂ければと思います。

 
▼新しいビジネスモデルをお探しの方はこちらのページもご覧ください。
注目の飲食店「新ビジネスモデル」事例解説 ~コロナ後の新しい時代への対応業態の作り方~
 
▼人時売上高・生産性向上についてはこちらのページもご覧ください。
注目すべき経営指標「人時売上高」とは?飲食店の生産性を上げる方法

 
外食業界時流予測レポート2022を無料ダウンロード!






アバター画像

担当者

外食・中食ビジネスチーム

船井総合研究所の外食専門コンサルティングチームです。
新ビジネスモデルの提案、新規出店、リニューアル、集客、人材採用、評価制度構築、FC本部構築など、飲食店に専門特化したご提案をさせていただきます。

お電話・Webからお問い合せ可能

0120-958-270受付時間 平日9:45~17:30 Webはこちらから

タグ一覧