
人件費高騰時代の飲食店経営に必要な業務改善3-3/3(全3回)
株式会社船井総合研究所 船井(上海)商務信息咨詢有限公司/グループマネージャー 石橋 恒夫

皆さん、こんにちは
飲食店経営コンサルタントの石橋です。
飲食店における作業は、大きく3つに分けられるという話を最初のコラムでお話しましたが、
本日は
・正味作業(直接付加価値を生み出す作業) ・・・調理、接客、販促活動など、直接売上や粗利に直結する作業。
・付随作業(直接付加価値は生み出さないが、飲食店を営業する上で行わなければならない作業)
・・・従業員の面接・教育、衛生管理、シフト作成(労務管理)、発注・在庫管理など
の業務改善についてお話させて頂きます。
正味作業における業務改善のポイントは
・同じ時間で、より粗利を高める。
・同じ粗利を、より短い時間で生み出す。
という2つの考え方が基本になります。
では、どのように進めていけばよいのかというと、工場などの生産管理の方法に
「ECRSの原則」というものがあります。
E:Eliminate(排除)…なくせないか
C:Combine(結合)…一緒にできないか
R:Rearrange(交換)…順番を変えられないか
S:Simplify(簡素化)…簡単にできないか
日々行われている作業一つ一つを、上記の考え方を元に、上から順に確認していき、
当てはまる部分を改善していく手法です。
この生産管理の方法を飲食に置き換えて見ていきます。
E:Eliminate(排除)…なくせないか
そもそも、その作業の必要性は?粗利にどの程度貢献しているか?という事を見直すことから始めます。
よくあるのが、今までやってきたから、当たり前のように続けている作業です。
例えば、予約帳の写し替え、過剰なポーションセット、豊富なカスターセットの設置などです。
その作業をなくすことで、粗利減、顧客満足度低下に繋がらないのであれば、
なくす作業候補として検討するべきでしょう。
C:Combine(結合)…一緒にできないか
よく1way2job(ワンウェイツージョブ)などと表現したりしますが、
料理を提供した帰りに、別のテーブルのお皿を下げるなど、2つ以上の業務を一緒に行うことです。
また、毎日行う作業や、複数店舗で同じ作業をしているものを、
一度に一緒に行う(セントラルキッチン化)なども、この類に入ります。
R:Rearrange(交換)…順番を変えられないか
段取り上手な方は、自然と行っていることですが、意外に現場を見ているとできていないケースがあります。
時間がかかるもの、後工程が長いものから着手する、などです。
揚げ物の器を用意してからフライヤーに材料を入れるのと、
揚げている最中に器を用意するのとでは、順番が違うだけで、作業効率は変わります。
こういう細かい作業の積み重ねが、大きな時間短縮に繋がります。
S:Simplify(簡素化)…簡単にできないか
今行っている作業をもっと簡単にできる方法はないかを考えます。
複雑な作業を行っているが、果たしてその価値がお客様に伝わっているか?という視点も重要になります。
包丁を2回入れている工程を1回で終わらせることで、付加価値への影響などを検討していく必要があるでしょう。
こういった業務改善の考え方をもとに、現状の正味作業の見直しを図っていくことで、
時間短縮や生産能力の向上に繋がっていきます。
最後に、「付随作業」に対する業務改善のポイントは、ズバリ「仕組み化、システム化(IT化)」です。
従業員の面接や教育に関しては、過去のノウハウを蓄積し、
面接シートや教育プログラムを構築し、属人的に実施する環境を排除する事です。
人によって、採用基準が違う、教える内容が違うという事態は、
従業員の不満や離職を助長するものであり、決して効率的な作業とは言えません。
また、シフト作成、発注業務、在庫管理、伝票整理などの業務は、
出来る限りシステム化(IT化)を進めていくのが望ましいでしょう。
機械(システム)が行っても、人が行っても変わらない(むしろ質が上がる)作業は、出来る限り機械化していきましょう。
これらの投資は採用費の一部を移行させても良いかもしれません。
深刻化する人材不足の中、将来を見据えて、勝ち残る企業になるために、
現状の業務改善を本格的に取り組んで頂ければと存じます。
石橋 恒夫 2016年12月16日
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